赤ちゃんが生まれて間もない時期は、成長や発達について不安を感じやすいものです。
とくに、昨今増えてきているとされる発達障害、そして知的障害についても、気になる親御さんは多くいるでしょう。
便利な時代になり情報がずらりと並ぶ一方、実際には何が事実で、どこまで心配すべきなのか分かりにくいですよね。
知的障害は生まれつきのケースが多い障害ですが、0歳の段階で明確に診断されるケースはごくごく一部です。
この記事では0歳児の発達の考え方、知的障害に気づけるポイントなどについて、解説していきます。

知的障害は0歳でわかる?

知的障害は、知的機能と適応行動の発達に持続的な遅れがみられる状態を指します。
その診断は、発達の経過を慎重に見極めながら行われます。
そのため、0歳という時期に断定することは、きわめて難しいとされています。
参考:福祉型カレッジ
0歳で知的障害を疑い、相談したとしても、多くの場合は「様子を見ながら発達をフォローする」という姿勢がとられるでしょう。
この時期の発達は個人差が大きく、正常範囲の幅も広いんです。
そのため、即座に障害と結びつけることは適切ではないのですね。
0歳では診断が難しい理由
0歳児は、笑う、泣く、視線を向ける、音に反応するといった、基礎的な行動を通して発達していきます。
しかし、これらの行動には個人差が大きいもの。
早い・遅いだけで「異常だ」と判断することはできません。
知的障害の診断には、知的機能と社会的適応の両面を評価する必要があります。
0歳児では、そもそも社会性や問題解決能力を十分に測定することが困難ですよね。
そのため、医学的にも「0歳で知的障害と断定する」ことは原則として行われないとされています。
0歳で指摘されるケース
ごく一部のケースでは、染色体異常や先天性疾患などが出生時に確認されることがあります。
それにともない、将来的に知的障害を伴う可能性が高いと説明されることがあります。
たとえば、ダウン症候群は出生直後から診断されることが多く、その特性の1つとして知的発達の遅れが想定されます。
ただし、この場合も「現時点での知的障害の程度」を断定するものではありません。
あくまで、将来的な見通しとして説明されるというケースです。

どんなケースであっても、0歳児に対して「知的障害かどうか」を判断するのは限りなく難しいんですね
発達の遅れと知的障害はちがう
0歳で知的障害と診断するのは限りなく難しいとお話しました。
しかし、0歳で「知的障害」ではなく「発達の遅れ」がみられるケースはあります。
それは必ずしも知的障害を意味するものではなく、発達の遅れなので、のちのち追いつくことも考えられます。
喃語を話すのが遅い赤ちゃんでも、言語理解は後から伸びてくる場合もあるでしょう。

発達障害と知的障害は、似ているようで別物なんです
このように、まれにみられる発達の遅れが、イコール知的障害とはいえないのです。
知的障害は、長期的な発達の積み重ねの中で判断されるもの。
そのため、まだ数ヶ月しか生きていない0歳時点で結論を出すことはできないという点を、理解しておくことが重要です。
0歳児の発達と知的障害の関係とは

0歳児の発達は、主に身体の動き、感覚の反応、人との関わりといった側面で進んでいきます。
知的障害は、考える力や理解する力に関わる障害です。
仮にその子が知的障害だった場合、それに通ずる何かヒントのようなものが、0歳の時点で間接的に現れることがあります。
ただし、それは非常にあいまいで、専門家であっても慎重に扱う必要がある領域なんです。

のちのち知的障害と診断されることがあったら「そういえばあの時…」と思い出せれば良いくらい、ささいなものなんですね
身体発達と知的発達の違い
首すわりや寝返り、おすわりといった身体発達が遅れていると、知的障害を心配する親御さんがいます。
しかし、意外と知られていないのが、身体発達と知的発達は必ずしも一致しないということです。
筋力や緊張の強さ、体の使い方の癖などによって、身体発達が遅れることはよくあります。
そのため、それ自体が知的障害を示すものではないのですね。
そして繰り返しになりますが、知的発達は経験の積み重ねや、周囲との関わりの中で徐々に形成されていくもの。
そのため、身体の発達が遅れている=知的にも遅れがあるとは断言できないのです。
疑わしい行動が複数あるかどうか
0歳児の発達を見る際、視線が合いにくい、音への反応が薄いといった点が気になれば、発達障害の可能性も出てくるでしょう。
ただし、これらも一時的な発達の偏りや、刺激に慣れて反応しなくなっているだけ…ということがよくあります。
しかし知的障害の場合は、単一の行動だけで判断されることはありません。
知的障害を疑うことのできる行動が複数あるか、そして複数の発達領域において、持続的な遅れがみられるかどうかが重要な判断基準です。
発達は一直線ではない
乳児期の発達は階段のように進むことが多く、停滞することもよくあります。
たとえば、しばらく変化が見られないと思ったら一気に成長することもあるのです。
仮に0歳の時点でできないことがあったとしても、それが将来にわたって続くとは限りませんよね。
知的障害かどうかを考える際には、短期間の変化ではなく、時間をかけた発達の流れを見る視点が大切です。

この理屈を考えれば、たった数ヶ月しか生きていない0歳児を知的障害だと判断するのは、あまりにも時期尚早なんですね
0歳で「気になるサイン」がみられたら

子どもを育てる中で「何か違うかもしれない」と感じる直感は、親になると経験する人も多いかもしれません。
しかし、その不安が過剰になりすぎると、育児そのものが苦しくなってしまいます。
0歳児に「なんとなく気になる…」というサインがみられたら、あくまで相談のきっかけとして捉えましょう。
不安を感じたときにチェックすべきこと
0歳児育児の中で、子どもの発達に不安を感じるときは、子どもの行動やしぐさを見て違和感を抱くというケースが多いでしょう。
そんなときは、その行動が一時的なものなのか、環境による影響なのか、はたまた継続して見られるものなのか、冷静に観察してみましょう。
もしかすると睡眠や体調、刺激の多さによって反応が変わるかもしれませんし、家庭内での様子だけでは判断が難しい場合もあります。

わが家でも、0歳の息子まめに対し、違和感を抱くことがありました。
しかし、それは生後2ヶ月くらいのときで、特にまめが何かをしたわけではなかったんです。
ただなんとなく「この子、発達検査で引っかかるんじゃないか…」と思ったんですよね。
生後2ヶ月なんて首もすわっていないし、目もぼんやりしか見えていなかったはず。
やっと新生児を卒業したくらいの赤ちゃんに対し、わたしがどういうきっかけで違和感を感じたのかは、10年たった今でも説明することができません。

第六感だった、としか言いようがないかも…
医療や健診で相談するだけでも◎
0歳児の段階で「なんか気になる…」と感じた場合には、健診や予防接種の際には相談してみることをおすすめします。
前述のとおり、0歳児では知的障害を診断されることはほぼありませんが、発達障害であれば0歳でも兆候がみられる場合があります。
そのため、今すぐに何か支援が始まるわけではなくとも「相談する」ということ自体がとても大切な行動となります。

はっきりした異常がなくても、気のせいかもしれなくても、大丈夫。
「気になる点がある」と伝えること自体に意味がありますし、医師や保健師はその時点からあなたと赤ちゃんのことを気にかけてくれます。
今後の見通しやフォローの必要性についても、助言してくれようになりますから、心強いですよ。
様子見と言われたら
0歳児に気になることがあり、相談した結果「とりあえず様子見で」と言われることも、よくあるケースです。
「様子見」という言葉は、はっきりしなくてモヤモヤしますよね。

わたしもよく「様子見」と言われてきましたが、性格的に白か黒か言い切ってほしかったので、煮え切らない思いでした
様子見という言葉は、発達の個人差を踏まえた医学的判断ととらえましょう。
様子見といわれたからといって、フォローの対象外となったわけではありませんし「これで相談は終了」という意味でもありません。
その子の成長を見守りながら、必要に応じて再評価するという、むしろ積極的な対応なんですね。

ところで「様子見」といわれたら、みなさんはどのような印象を受けますか?
意外にも
- 不安を軽く見られた気がする
- 今後相談しづらい
- ちゃんと取り合ってもらえてない
というふうに感じる親御さんが多いそうなんですが、わたしはこう感じたんですよね。
「お母さんの気のせいですよ、この子は正常に発達しています」と言ってほしかった…
このがっかり感、理解してくださる親御さんも多いと思うんですが、わたしは当初発達について相談するたびに

気のせいでありますように…「お母さん、考えすぎだよ」「これぐらい普通だよ」と言ってもらえますように…
と祈りを込めていました。
しかし、いろいろな機関に相談に行くたび、そこにいる人の反応でなんとなく覚悟はしていました。
だから「様子見で」といわれると「やっぱり様子くらいは見ないといけない状態ってことだよね…」と、ずーん…と落ちたまま帰路についたものです。

そんな新米ママだった頃の自分と比べれば、いまは強くたくましくなりました!
0歳からできる支援やかかわり方

知的障害の診断がつかない0歳の段階であっても、赤ちゃんの発達を支える「かかわり方」は、すべての家庭で行うことができます。
特別な訓練をする必要はなく、日常の中でのかかわりそのものが、発達の土台を育てていきますよ。
スキンシップが発達を支える
0歳児とのかかわりというと、親御さんにできることは限られてきますよね。
しかし、0歳児だからこそできる親子のスキンシップがあります。
抱っこをする、話しかける、目を合わせるといった日常的なかかわりは、知的発達や情緒の安定にとって重要といわれています。

たとえ反応が薄く感じられても、働きかけを続けることで、少しずつ刺激が蓄積されていくでしょう。
結果がすぐに見えなくても、その経験は確実に赤ちゃんの中に残っていきますよ。
ただし、もし以下のようなことを気にされているのなら、いったん忘れた方がいいと思います。
- 0歳のときにあまり抱っこをしてあげられなかった
- 育児がつらくて話しかけてあげられなかった
- 授乳中はスマホをいじっていて目を合わせなかった
冷静に考えればわかることなのですが、上記のことだけが原因で子どもの発達が遅れるとは考えにくく、ましてや知的障害にしてしまうほどの威力はありません。
しかし子どもの発達で悩みに悩んで、すべてをネガティブな方向に考えてしまっている親御さんは、こういうことさえも反省してしまっていると思います。

確かに0歳児とのスキンシップは発達の土台を築きますが、育児ってそれだけではないですよね。
一瞬のスキンシップ、一時期のかかわり方で、その先の発達にそこまで大きな影響はないといわれています。
参考:東洋経済オンライン
子どもの発達や成長は、親御さんが抱っこを何回したのか、どれくらい目を合わせたのかで決まるゲームのようなものではありません。
もっと多因子的な積み重ねによって形づくられるものです。
スキンシップが発達を支えるのは事実。
しかし、それが十分にできなかった=障害がある可能性というのは、飛躍しすぎです。
あくまで「話しかけないよりも、そりゃ話しかける方がいいよね」ぐらいにとらえておきましょう。
0歳からの「早期療育」は必要?
「早期療育」という言葉を聞いたことがありますか?
言葉どおり、早期のうちに療育を始めて発達を促し、自立と社会参加を支援することをいいます。
早期という響きから「0歳で何かを始めなければ手遅れになるのではないか」と、不安になる人もいるようです。

しかし実際には、家庭での安定したかかわりこそがもっとも重要な基盤です。
そもそも早期療育は0~10歳くらいまで幅がありますから、専門機関に相談し「療育を始めましょう」という話になってからスタートでも、大丈夫ですよ。
医療的な介入が必要な場合を除いては、無理に特別なプログラムを探す必要はありません。

わが家はわたしが違和感を感じたのが0歳のときでしたが、いろんなところに相談した期間を含めても、療育開始は4歳でした
赤ちゃんと安心して関われる環境を整えることが、最大の支援になるでしょう。
親自身の心のケアも忘れずに
子どもの発達に関する不安を1人で抱え込むと、親のほうが疲れてしまいますよね。
不安を誰かに話すこと、情報を正しく整理することは、結果的に子どもへの安定した関わりにつながります。
0歳の時期は、子どもだけでなく親も「育ちの途中」であることを忘れないでくださいね。
わたしはまめの発達遅延に気付いたのが早く、0歳からうっすら不安と戦ってきたように思います。

あの日々から10年経つのかと思うと、あっという間だったような、長すぎたような…
いま思うと、0歳児をふくむ幼児期くらいまでの発達に悩む親御さんは、とにかく誰かに「話を聞いてもらうこと」だけでも、心が軽くなると思います。
とくに初めての子育ての場合、初めての子どもに発達の不安があるとなれば、毎日頭を抱えてしまうのではないでしょうか。
結果がどうであれ、友人や家族、両親、支援センターの先生など、対等に話ができる大人と会話するだけで、リフレッシュできると思います。

子どもが小学生になったいまは、正直「話を聞いてもらう」だけで心が軽くなることはなくなりました。
でも、乳幼児期は知らないことだらけなので、もやもやした自分の気持ちを整理するためにも、信頼できる人に話してみてください。
知的障害の可能性と向き合うために

知的障害は0歳のうちに判断できるものではなく、成長の中で少しずつ見えてくるものです。
そのため、今後可能性があるということも含め、長期的な視点を持つことが重要になります。
診断されるまでは確定ではありませんし、親御さんの勘が当たることもあれば、親であるがゆえ心配しすぎて早とちりだったというケースもあります。
「いつ診断されるのか」とハラハラした日々を過ごすよりも、少しずつ知的障害について情報を集めたり、もしそうだった場合にどんなかかわり方ができるか考えてみたり…
すこしでも有意義に時間を過ごせれば良いですよね。
発達は積み重ねで評価される
知的障害の診断は、発達の積み重ねを丁寧に評価した結果として行われます。
そのため、ほんの一時期の遅れや特徴だけで、判断されることはありません。
時間をかけて「全体像」を見ることが、知的障害の診断の基本。
0歳の段階で「可能性」について語られることがあっても、それは「確定」ではないということを、理解しておきましょう。
0歳児は、障害があってもなくても、これからどんなふうに育つか誰にもわかりません。

基本的人格さえまだ形成されていませんし、知的障害かどうかがわからないのも納得ですよね。
まずは、健康に育つよう親としてベストを尽くしましょう。
子どもが健康になるようご飯を食べさせたり、日光を浴びさせたりすることはできますが、知的障害を途中で止めたり、予防したりできることはほとんどありません。

積み重なる発達は、親御さんにどうにかできるものではなく、育てながら見守るものです。
あまり深く考えすぎず、今後のために情報収集しながら、あなたのペースで育てていきましょう。
成長を期待することも大事
0歳児の発達に関する不安を抱えながらも、成長への期待を持つことは、矛盾ではありません。
「知的障害だったらどうしよう」という不安があるからこそ、子どもの小さな変化に気づけることもありますよね。
知的障害の有無にかかわらず、その子なりの成長の形があるという視点を持ちましょう。
子育ては長いですから、その中で多くの「心の支え」があるほうが良いに決まっています。

わが家のまめは10歳で、すでに知的障害の診断が出ていますが、それでも将来の成長には期待しています!
わたしの言う「成長に期待する」というのは、知的障害の診断が外れることや、定型発達児に追いつくことではありません。
知的障害の診断がついていても、まめの長所や魅力を活かして仕事を持てたり、仲間に囲まれ楽しく生きたり、幸せな人生を送れるための成長です。

どんな子どもでも、成長します。
知的障害であっても、発達障害であっても、だからといって詰むわけではありません。
明るい未来が待っていますから、いま不安でも、いろんな可能性を考えて少しでも前向きに過ごしましょう。
情報に振り回されないために
0歳児をかかえて、知的障害ではないかと心配することは、気苦労が絶えないでしょう。
実際「0歳 知的障害」と検索すると、極端な体験談や断定的な情報に触れることがあります。
しかし、それらはごく一部の例に過ぎません。
信頼できる専門家の意見をもとに、必要な情報だけを取り入れていきましょう。
焦らず、今の子どもを見つめることが、何より大切なスタートになりますよ。

正直、小児科の先生によっても意見が割れることなんてザラにあります。
インターネット上の情報なんて、真実とデマが入り混じった混沌なんですよ!
まとめ
知的障害は生まれつきの要因が関与することが多いものの、0歳の段階で明確に診断されることはほとんどありません。
この時期に大切なのは、発達の個人差を理解し、必要に応じて専門家に相談すること。
0歳からできる支援というのは特別なことではなく、日常の関わりそのものです。
長期的な視点を持ちながら、子どもの成長を見守る姿勢が、親御さんの安心にもつながりますよ。















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