幼稚園や保育園の先生から、子どもの発達障害を指摘されたときにすべきことを解説します。
かくいうわたしも、子どもが幼稚園に入園してすぐに発達の遅れを指摘された張本人。
わたしがしてきたこと、受けた支援や現在の状況など、体験談ベースでお伝えしていきます。
正直に言うと、幼稚園や保育園で発達障害を指摘されるのはありがたいことです。
なぜなら、発達障害の発覚が遅れれば遅れるほど、本人の負担が増えることがあるからです。
子どもにとって幸せな人生になるよう、受けられる支援やもらえるものをチェックしておきましょう!

園で発達障害を指摘されたらどうする?

幼稚園や保育園で発達障害を指摘されたら、そのままにするのではなく少しずつ前に進みましょう。
現在は、発達障害や発達遅延、また発達に不安を抱える子どもが生きやすい環境や設備が整っています。
発達障害になったらこの先どうなっちゃうの…!?
ではなく、
発達障害でも生きやすい環境を見つけよう!
という気持ちで、少しずつ環境を整えていきましょう。
面談で状況を把握する
幼稚園や保育園で発達障害を指摘されたら、まずは先生と面談して状況を把握しましょう。
ご家庭での子どもと園での子どもは、過ごし方や様子がまったく違うかもしれません。
特に家では家族のみですが、園では先生やお友達とかかわるため、違った困りごとが発生している可能性も。
逆に、家で親御さんが困り果てていることが、園ではできていることもあります。

発達障害を指摘されたら、以下の情報収集をするために、先生と面談することをおすすめします。
園でどのような過ごし方をしていて、先生から見てどのような点が困っているのか、ということを聞きがちなのですが、
子ども本人が困っていること
にベクトルを向けるのも重要なことです。
園で子どもが困っている様子を先生によく観察していただき、親御さんも把握しておきましょう。

これから国の支援を受けるときに必要な情報になるので、しっかりメモをとって現状を把握してくださいね!
また、上記で「先生の期待とのズレ」と表記した点。
先生が子どもにどのようなことを期待していて、子どもがそれに対してどのようにアウトプットしているかも聞いておきたい情報です。
たとえば、以下のようなことです。
なぜこの情報が必要なのかというと、親と先生の認識のズレを少しでもなくすためです。
これはわたしが実際に体験して身に染みたことなのですが、第1子だったり、子どもの発達に詳しくなかったりすると、いろいろなことに対し
子どもなんだからそれぐらいいいじゃない
という気持ちが、保護者側に芽生えることがあります。
もちろん価値観は人それぞれなので、そう思うこと自体は間違いではありません。
しかし発達障害を指摘されるケースの場合、それでは済まされないことが多々あるのです。
発達障害は脳機能の障害なので、悪いことを「ダメだよ」と言ってもスムーズに理解できない子もいます。
長い時間をかけて、根気よく伝えていかなければ、学習できない子もいます。

そのため「たかが子どものケンカ」「たかがおもちゃの取り合い」といっても、発達障害が関係する場合には楽観視できないことがあるのです。

わたしも最初は、まめの身支度の遅さやマイペースさを指摘されたときに「そういう性格なんだから仕方ないのでは…?」と思ったのが正直なところです

親だからまずは子どもをかばいたくなってしまいますよね
「そういう性格だから」「まめはマイペースだから」と思っていた当初。
しかし、次第に「そういうことじゃないかも」と理解するようになりました。

現実的に考えられるようになったのも、先生が発達遅延を指摘してくださったおかげだと思うので、今は感謝しています
家庭での困りごとと照らし合わせまとめる
先生と面談して状況を把握したら、家庭での困りごとと照らし合わせてみましょう。
幼稚園や保育園で発達障害を指摘されたということは、少なからず集団生活において困りごとが発生しているということです。
子どもにとってより生きやすい環境を整えてあげられるよう、専門的な支援につなげることを考えましょう。
そのためには、先生からヒアリングした園での困りごとに加え、ご家庭での様子もまとめておくことをおすすめします。

このあと自治体の窓口に申請をする際、よりスムーズになります!
わが家の場合、幼稚園から指摘された困りごとと家庭での困りごとの多くが一致し、
「やっぱりな…」
と思うエピソードがたくさんあったのを覚えています。
しかし、逆に「家ではこうなのに、園ではこんなことをしているの!?」と、親御さんが驚くパターンもあるでしょう。
特に園ではお友達がいるので、ご家庭ではみられない子どもの姿が明らかになるケースも。
園と家庭、それぞれでの過ごし方や困りごとをまとめ、より適切な支援につなげられるよう準備しておおきましょう。
自治体窓口に相談する
園での様子を把握し、ご家庭での困りごとと照らし合わせることができたら、その内容をもとに自治体の窓口に相談しましょう。
自治体の窓口に相談することが、療育につながる第一歩となります。
問い合わせ先が分からない場合には、以下のように検索してみてくださいね。

「○○市」の部分は、お住まいの市町村を当てはめてみてください!
自治体の窓口に相談すると、子どもの発達障害に応じて適切なサービスを案内してもらえます。
発達障害である場合、また幼稚園や保育園で指摘された場合だと、療育をすすめられるケースが多いかもしれません。
療育を利用する場合には、受給者証の取得や施設探しなど、やることがどんどん増えていきますので、早めの行動をおすすめします!
園で発達障害を指摘されたら受けられるサービス

幼稚園や保育園で発達障害を指摘された場合、何らかの支援やサービスを受けることが推奨されるでしょう。
園で発達障害を指摘するということは「そのままにしてはいけない」という遠回しなメッセージだととらえた方が良いと思います。
園から発達障害を指摘されても「そうなんだ」「いつかみんなに追いつくといいな」と楽観視してしまう親御さんがいるそうです。(知人談)
しかし、発達障害である可能性が少しでもあって、専門職の人から指摘されているならば、福祉サービスの利用を検討してみてください。
加配をつけてもらえる
幼稚園や保育園で発達障害を指摘された場合、集団生活の中で加配をつけてもらえる可能性があります。
加配とは、通常の先生の人数に加えて、支援が必要な子どもに対して先生を配置する制度のことです。

担任・副担任など通常の先生のほかに、先生が常駐して発達障害児のサポートをします
加配の需要は高まっていますが、園によっては教員や保育士の人手不足により、加配をつけることができないケースも。

まめの場合は、普段補助として入っている先生が加配要員としてついてくださり、日常生活のサポートをしていただきました。
特にまめは身支度が遅かったり、集団指示が通りにくかったりしたので、加配の先生が個別で指示をしたり手伝ってくださったりしました。
加配をつけてもらうには通常、支援が必要な子どもの保護者が自治体に申請することが条件となります。
しかし、その前に加配をつけるべきかどうか園と保護者で相談する必要があると思いますので、まずは先生と話し合ってみてください。

その際に、人員的に加配をつけることが可能かどうかや、詳しい申請方法を教えてもらえると思います!
合理的配慮をしてもらえる
幼稚園や保育園で発達障害を指摘された場合、合理的配慮をしてもらえることがあります。
合理的配慮とは、障害のある子どもがほかの子どもたちと同じように教育を受けられるよう、適切な変更や調整を行うことです。

たとえば、集団指示が通りにくい子には個別でフォローしたり、言語理解に遅れのある子には絵カードで指示をしたりする、などです。

まめは幼稚園でも学校でも合理的配慮をしてもらっていて、ただでさえ忙しい先生に余計な負担をかけていることを申し訳なく思っていました
しかし、実は合理的配慮は2024年4月から義務化されているんです。
もちろん園に負担がかかってしまうのは事実だと思いますが、支援として園に依頼することが可能なのですね。
子どもの苦手なことや課題に応じて、教室内で合理的配慮をしてもらえるようお願いしてみると良いかもしれません。
園に合理的配慮をお願いする際には、漠然と「合理的配慮をお願いします」と依頼するのではなく、具体的に何をしてほしいか伝えることをおすすめします。
まめの場合は、先生と面談を重ねて以下の対応をしていただいていました。

クールダウン部屋は、使っていない資料部屋を特別に貸していただきました…
まめはASDの特性があるからか、授業や宿題の内容に好き嫌い(こだわり)がありました。
漢字の学習では、ドリルだとやりたがらないのに、タブレット学習だと楽しそうに取り組んでいたので、タブレットで学ばせてもらっていました。

字を書くのが嫌いで、タブレットだとゲーム感覚でできるから楽しかったんだよ
また、みんなと同じペースで宿題やドリルが終わらなかったので、毎週金曜にどっさり持ち帰ってきて、週末に家で取り組んでいました。

家庭学習の量が増えるとわたしも大変でしたが、本人が学校で終わらせられなかった分だし、これ以上学校に迷惑をかけるわけにはいかないのでね…
まめの担任の先生は、

もし平日で居残りしても良い曜日があれば教えてください!
放課後、終わらなかったドリルを一緒にやりますので
と言ってくださり、1年のうち1日だけ本当に居残りして、ドリルを進めてくださいました。

ただでさえ先生も残業があるのに申し訳なかったです…
まめは集団指示が通りにくい子ですが、個別で教えると案外理解することも多かったので、この頃から「支援級や通級で個別フォローの機会を増やしたいな」と考えるようになりました。
療育を受けられる
幼稚園や保育園で発達障害を指摘された場合、療育を受けることができます。
療育とは、発達に遅れがあったり支援が必要だと判断されたりした子どもが受けられる、福祉サービスです。
幼児期(就学前)の療育を「児童発達支援」と呼び、就学後(6~18歳)の療育を「放課後等デイサービス」と呼びます。

わが家のまめが療育を始めたのは幼稚園のときなので、児童発達支援プログラムを利用しました。
幼稚園や保育園で発達障害を指摘された場合、療育を受けることはメリットが多くあります。
療育を受けることに抵抗がある気持ちもわかりますが、先生と相談し、必要に応じて申し込んでみることをおすすめします。

療育を受けたことで、小学校入学前の不安が解消されたり、実際に小学校入学後にも効果を感じました
ちなみに、療育を受ける際には医師の診断書や意見書が必要になるケースがあります。
しかし、幼稚園や保育園から発達障害を指摘された場合、その時点で「専門的な支援が必要である」と判断されることになります。
わが家も医師の診断なしで療育を受けていたのですが、幼稚園の先生から療育を勧められたことが理由だったかもしれません。
医師の診断がマストになるかどうかは、自治体や療育施設によって異なるので、まずは相談窓口に聞いてみてくださいね。
園で発達障害を指摘する理由

幼稚園や保育園から発達障害を指摘されると、頭が真っ白になる人もいるかもしれません。
わが家では、まめが0歳の頃からある程度の発達遅延を疑っていたので、幼稚園で指摘されたときには「やっぱり…」というのが正直な感想でした。
しかし、中には
「少しマイペースなだけかと思っていた」
「子どもはそういうものだと思って気にしていなかった」
という親御さんもいるでしょう。
しかし、幼稚園や保育園で発達障害を指摘することは、子どもの将来を大きく左右するきっかけになります。
親御さんだけでは気づくことのできない、集団生活の中での子どもの様子や困りごとを共有してもらえるのは、本来ありがたいことなのですね。

そして、先生方が発達障害の可能性を感じて保護者に報告することには、理由があります。
それは、2005年に施行された「発達障害者支援法」によるものです。
発達障害者支援法では、教育現場において発達障害の早期発見、また早期の支援や関係機関への連携が義務付けられています。

先生は、発達障害の可能性を見てみぬふりをせず、保護者に共有したり療育につなげたりする義務があるんだね

発達障害児が十分な教育を受けられるよう、適切な支援につなげたり体制を整えたりすることが、先生たちの仕事の一環なのだそうです
そして2016年、発達障害者支援法の一部が改正され、発達障害者への支援がさらに充実するようになりました。
2016年に行われた改正の一部では、以下のようなものがあります。
乳幼児期から高齢期まで切れ目のない支援を行うため、教育現場を含む関係機関全体が密に連携する
上記の意味は、障害を客観的に診断・評価したり、卒園後の進学先へ情報を連携したりすることをいいます。

各自治体に「支援手帳」というものがあって(呼び名は各地で異なります)、それに子どもの発達障害についての情報を書き込み、園や学校、療育で共有できるようにします
これらの密な支援体制を維持することが法で定められているため、幼稚園や保育園では発達障害を指摘する必要があるのです。
先生たちも「おたくのお子さまには困っています!」という思いで伝えているわけではないので、事実としてしっかり受け止め、次のステップに進めたら良いですよね。
実は園側も指摘したくない!?

幼稚園や保育園の先生が子どもの発達障害の傾向に気がついた場合、保護者や関係機関に連携し支援につなげる義務があります。
しかし、先生としても「保護者に指摘しづらい…」と思うことがあるそうです。

わたしの小中学校の友人が幼稚園教諭をしているのですが、保護者に打ち明けるのは緊張すると言っていました
わたしも発達障害児を育てる当事者なので、指摘されて戸惑ってしまう親御さんの気持ちがわかります。
そして「なんでうちの子が…」と思ってしまう気持ちも、痛いほどわかります。
しかし、先生もまた同じだけの不安を抱えて、保護者に打ち明けてくれているのだと思いました。

わたしに発達障害のことを伝えてくれた先生は、同年代のお子さんがいる方だったので、わたしにとても気を遣ってくれたのが伝わってきました
保護者の中には、発達障害について指摘をすると
という対応をする人も多くいるそうです。

親はもちろんだけど、先生も先生で大変なんだよね…
それでも、子どものためを思って先生は保護者に打ち明けてくれています。
先生が指摘してくれなかったら、親も誰も気づかず、のちのち子どもがつらい思いをすることになるかもしれません。
そうなる前に、先生が集団生活の中の子どもを見て「支援につなげなければいけない」と判断してくださったということです。
子どものことをよく観察し、子どもがより幸せで充実した人生を送るために、適切な判断をしてくださる先生には、感謝の気持ちを忘れずにいたいですね。
まとめ
幼稚園や保育園で発達障害を指摘されたときにすべきこと、そして受けられるサービスなどを解説しました。
発達障害を指摘されると、戸惑ったり頭が真っ白になってしまったりするかもしれません。
しかし、幼稚園や保育園で指摘してもらえたということは、早い段階で適切な支援につなげられるということ。
発達の傾向に気づいてくれた先生には、感謝しなければいけないのですね。
幼稚園や保育園で発達障害が判明した場合、小学校入学前に療育につながり、子どもの学校生活の不安を軽減することにも直結します。
発達障害者支援法が施行され、改正を繰り返している現在。
発達障害をもった子どもも、そうでない子どもと同じように教育を受けられる環境が整ってきています。
学校や社会生活の選択肢はたくさんありますから、ご家庭や子どもにとって適切な方法を選んで、より充実した人生を創り上げましょう!
よく読まれている記事
コメント