発達障害とはどのようなものか、簡単に解説します。
発達障害は、一言でいうと「生まれつきの脳機能の障害」です。
もともとは1963年にアメリカの法律用語として生まれた言葉で、日本には1970年のはじめに入ってきました。
2005年には、発達障害をもつ人を支援する「発達障害者支援法」が施行され、現在に至ります。
参考:東京都保健医療局
発達障害がどのような障害なのか、簡単に解説していきましょう。

発達障害とはどんな障害?

発達障害にどのような種類があるのか解説する前に、どのような障害なのか簡単に説明してみましょう。
発達障害を持っていると、以下の困りごとや特徴が発生します。
具体的に、上記の特徴がどのように現れるのか解説していきます。
参考:政府広報オンライン
コミュニケーションが苦手である
発達障害を持っている人は、コミュニケーションが苦手な傾向にあります。
発達障害のうち、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)とよばれる種類が、特にコミュニケーション面で困りごとが多いとされています。

ASDとADHDの詳しい特性は、このあと解説していきますね!
発達障害を持つ人のコミュニケーションの特徴は、以下のようなものがあります。

発達障害というより、シャイな子やわんぱくな子によくありそうな特徴だね

まさにそうなんです。個性や性格と紙一重なので、特に幼少期には発達障害と気づかれないこともあります
「変わった人」と思われる
発達障害があると、周囲から「変わった人」と思われることがよくあります。
発達障害にも程度があり、軽度の場合には周囲に馴染む人もいますが、基本的には「健常児(=発達障害ではない人)」とは違う行動を見せることがあります。
たとえば、以下のようなものです。
これらの特性は発達障害特有のものですが、一見「変わった人」、そして「わがまま」「自分勝手」と思われる理由にもなっています。
社会で生きづらさを感じる
発達障害を持っていると、社会性やコミュニケーション力の欠如や、周囲から理解を得られない環境などから、本人が「生きづらさ」を感じることがあります。
発達障害は、重度でない限り見た目では分かりにくいこともあり、単に「わがままな人」と捉えられることがあります。
しかし、実際には脳機能の障害による問題行動であり、本人にわがままな意識や悪意があるわけではないのです。
そのため、周囲が迷惑だと感じるのと同じように、発達障害をもつ人本人も居心地の悪さを感じています。

発達障害児を育てる親としては、発達障害に対する周囲の理解を求めたい反面、発達障害を理由に問題行動を良しとしているわけではない、葛藤があります…
発達障害の種類

それでは、発達障害の種類について解説していきましょう。
発達障害があると、上記のようにコミュニケーションや社会性が欠如していたり、それゆえ「変わった人」と思われたり、生きづらさを感じてしまったりします。
そんな発達障害には、以下3つの種類があります。
- ASD(自閉スペクトラム症)
- ADHD(注意欠如多動症)
- LD(学習障害)
どれも似ているようで、あらわれる特性や困りごとは少しずつ違っています。
また、1~3のどれか1つに該当するのではなく、複数の発達障害が混合してあらわれるケースも多くあります。
特に①ASDと②ADHDは併存することの多い発達障害です。
そのため、すべての子どもたちと同じように、発達障害も十人十色なのです。

ちなみにわが家のまめは、ASD寄りのADHD混合型です
それぞれの発達障害について、簡単に解説していきましょう。
参考:LITALICOジュニア
ASD(自閉スペクトラム症)
ASDは「自閉スペクトラム症」とよばれ、一般的には「自閉症」という名称で知られているかもしれません。
ASD(自閉スペクトラム症)の主な特性は以下の通りです。
ASDは、発達障害の中でも比較的早い段階で診断されるといわれており、1歳半検診や3歳児健診で診断されることがあります。

わが家のまめは、検診での指摘はありませんでした。
でも、幼稚園に入園してからASDの傾向が出始め、先生から「発達検査に行かれてみては」とすすめられました
ASDをテーマにした有名な作品もありますので、気になったらぜひ見てみてくださいね。
自閉症を描いた作品
ADHD(注意欠如多動症)
ADHDは「注意欠如多動症」といい、子どもから大人まで広範囲で診断されることの多い発達障害です。
以前は「注意欠陥多動性障害」とよばれていましたが「欠陥」という言葉が差別的であるとされ、名称が変更されました。
名称の通り「注意が欠如したり、多動(多く動く)の特性」を持っています。
ADHDの特性は、主に以下の通りです。
ADHDの特性 | 特徴 |
不注意 | 忘れ物が多い 約束を忘れる 飽きっぽい 集中力が続かない |
多動性 | 落ち着きがない すぐ立ち歩く 一方的にしゃべり続ける |
衝動性 | 衝動的にものを投げたり人を叩いたりする 道路に飛び出す 順番を守らない |

幼児にはよくありそうな特徴ばかりだね

落ち着きがない、順番を守らない、などは確かに幼児にはよくありますよね!
そのため、ADHDは幼児期では気づかれにくい発達障害なんです
ADHDは発達障害の中でも比較的身近で、子どもから大人まで診断されることの多い種類です。
ADHDを題材にした作品もありますので、より深く知ってみたいという方はぜひ見てみてくださいね。
ADHDを描いた作品
LD(学習障害)
LDは「学習障害」といって、特定の学習面(読み書きや計算など)に遅れがみられる発達障害です。
LDにみられる特性は、以下の通りです。
LDは、単に「国語や算数が苦手」な子と区別がつきにくいため「努力が足りない」「もっと勉強すべき」と思われがちです。
LDを抱えていると、一般的な学習方法ではうまくいかない可能性があり、本人に無理をさせてしまうと悪循環に陥ってしまうことも。
学習面における発達障害なので、LDは小学校に入学してから発覚することが多いとされています。
意外と知らない!発達障害のあれこれ

発達障害について解説してきましたが、ここからは意外と知られていない発達障害の知識についてシェアしていきたいと思います。
知的障害を伴うことがある
発達障害と知的障害は別の障害ですが、発達障害の中には知的障害を伴うケースもあります。
上記でご紹介した発達障害のうち、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)は、知的障害を伴うことがあります。
LD(学習障害)については、発達障害の中で唯一「知的障害を伴わない」ことが診断の条件とされています。
参考:厚生労働省
大人になって初めて診断されることがある
発達障害の中でもADHD(注意欠如多動症)は、大人になってから医療機関にかかり発覚することもあります。
ASD(自閉スペクトラム症)は3歳までに発症するといわれているため、幼児期の行動で気づかれやすいのが特徴でした。
しかし、ADHDの特性は「落ち着きがない」「順番を守らない」「衝動的に行動する」など、幼い子どもにみられる特徴が多いため、幼児期では判別がしづらいのです。
成長とともに周囲との差を感じるようになったり、本人が生きづらさを感じるようになったりして、はじめて医療機関を受診し、ADHDだったことが判明するというケースも少なくありません。
本来、ADHDは12歳未満で発症するとされているので、大人になって急にADHDになったのではなく「実は子どもの頃から発達障害だった」ということなのですね

「会社が合わない」「生きづらい」と感じて受診したら発達障害だったなんて、受け入れるのに時間がかかりそうだね

まさか自分が…と思うでしょうから驚きますよね
でも、これまでの生きづらさやモヤモヤが「発達障害だったから」とつじつまが合うことで、過去をスッキリさせられる人も多いそうですよ
参考:政府広報オンライン
「グレーゾーン」がある
発達障害には「グレーゾーン」というものがあります。
厳密には「グレーゾーン」は診断名ではないため、グレーゾーンの人は発達障害ではないと判定されます。
グレーゾーンとは、発達障害の特性の一部がみとめられるものの、診断基準を満たしていない状態をいいます。
「あなたは発達障害です」と明確に宣言することができず、でも傾向はあるという宙ぶらりんな状態。

実は、この「グレーゾーン」が一番困る状態なんです…!
グレーゾーンは発達障害ではないため、一見「発達障害と診断されなくてよかったのでは?」と思われるかもしれません。
しかし実際には発達障害の傾向があり、日常生活に支障がある場合が多いのです。
それなのに診断名をつけてもらえないので、福祉サービスを受けられなかったり、健常児(発達障害ではない子どもたち)と同じ基準が求められたりします。

発達障害の傾向があるのに、健常児と同じレベルが求められるのは酷だね…

グレーゾーンが一番困るから、診断名をつけてほしいという親御さんも少なくないんですよ
芸能人も発達障害を公表している
発達障害は、近年多くの芸能人が公表していることでも知られるようになりました。
中には「あの人は変わっているから発達障害では?」と噂されているだけの人もいるため、ここではご本人が正式に公表している方のみご紹介します。
ASDの芸能人 | ADHDの芸能人 | LDの芸能人 |
米津玄師 イーロン・マスク 沖田✕華 | 木下優樹菜 コムドットやまと 栗原類 黒柳徹子 Fukase(セカオワ) パリス・ヒルトン エマ・ワトソン | 黒柳徹子 ミッツ・マングローブ ウィル・スミス |
天才シンガーソングライターの米津玄師さんは、ASDの中でも「高機能自閉症」(知的発達の遅れがない自閉症)と診断されています。
幼少期から学校が嫌いで、自分の世界に入り込む子どもだったそうですよ。
黒柳徹子さんは、自身のADHDやLDなどの特性を著書『窓ぎわのトットちゃん』で描かれていますね。

当時はADHDという言葉もなかった時代。
黒柳徹子さんは多動が問題視されて、公立小学校を退学になったんだよね…
このように、発達障害は現在さまざまな芸能人や著名人も公表していることで、徐々に知名度が上がっています。
まとめ
発達障害とはどのような障害か、簡単に説明しました。
発達障害には3種類の障害がありますが、似通っていたりピンと来なかったりして、まだ理解が進んでいない部分も多くあります。
しかし、2022年に文部科学省が行った調査によると、全国の公立小中学校の通常学級には「発達障害の可能性のある生徒」が8.8%在籍していることが分かっています。
現代では、決して珍しくはない発達障害。
発達障害について知ろうと、本記事を最後まで読み進めてくださり、ありがとうございました。
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