発達に特性がある子どもを育てていると、
「この子に合う療育施設ってどうやって見つければいいの?」
という壁にぶつかる瞬間があるかもしれません。
市や区の保健師さんに相談して紹介されることもあれば、ネットで調べて見つけるケースもありますが、数が多すぎて迷ってしまうのが現実ですよね。
わたし自身も子どもの発達について悩み始めたとき、どこに相談すればいいのか、どんな施設を選べばいいのか、まったくわからずに不安でいっぱいでした。
療育施設には公的なものから民間のものまで幅広く、提供される支援の内容や雰囲気、対応の柔軟さも施設によってさまざまです。
この記事ではわが家の経験も交えながら、後悔しないための療育施設の選び方について、実際の流れとチェックすべきポイントをお伝えします。

療育施設にはどんな種類がある?

療育施設と一口にいっても、実はさまざまな種類があります。
大きく分けると、未就学児向けの「児童発達支援」と、小学生以降の「放課後等デイサービス」があり、それぞれで提供される支援や目的が異なります。
また、運営母体もさまざまです。
自治体が運営する公的なセンター、NPO法人が手がける地域密着型の施設、株式会社が運営する民間サービスなどがあります。
内容は、遊びや日常生活の中で発達を促す施設もあれば、言語療法や作業療法、感覚統合トレーニングを重視する専門性の高い施設もあります。
まずは、支援を必要とする年齢と、子どもの特性に対してどんなサポートが合っていそうかを整理することが、スタートラインになるでしょう。

療育はみんな似たように見えますが、提供サービスが全然違うことがあるので、親御さん1人で決めようとせず、専門家に相談してみることをおすすめします!
療育施設を選ぶ前にすべきこと

療育施設を選び始める前に、さまざまな療育の情報収集をしておきましょう。
最初から近所の1箇所に絞り込むのではなく、複数の施設を検討することがおすすめです。
療育施設を選ぶ前の情報収集段階で、しておくべきことをまとめてみましょう。
見学や面談で相性を確認する
療育施設を選ぶ際に重要なのが、実際に足を運ぶことです。
資料やホームページの印象と、現場の雰囲気はまったく違う場合があります。
見学では、スタッフの対応の柔らかさや、子どもへの声かけ、集団の様子などをよく観察してみてください。
面談をすると「この子の発達にはこういう支援が合うと思います」と言ってくれるかどうかも、重要なポイントになります。
施設によっては、定型的なプログラムを全員に当てはめるだけのところもあるのが現状。

子どもの個性に合わせた対応を提案してくれる施設は信頼できますね!
必要に応じて2~3ヶ所見学し、実際に子どもを連れて行って体験させてもらってみると感覚がつかめるかもしれません。
実際に通うのは子どもですから、子どもがどのように感じるかを見極めるためにも、ぜひ一緒に体験に訪れてみてくださいね。
支援内容や方針を確認する
療育施設はどこも同じように見えて、実は支援の内容やアプローチに大きな違いがあります。
たとえば、ソーシャルスキルトレーニング(SST)に力を入れているところもあれば、学習支援を重視しているところ、または運動や音楽など体を使った療育を中心にしているところもあります。
そのため、まずは自分のお子さんが「どんな困りごとを抱えているのか」「どんな力を伸ばしたいのか」を整理したうえで、各施設の支援方針と照らし合わせてみましょう。
「ここならうちの子に合いそう!」と思えるかどうかが、安心して通所する第一歩になるでしょう。
送迎の有無を確認する
どれだけ良い施設であっても、通うのが難しい場所では継続が難しくなることも。
送迎の有無や、施設までの距離、通所にかかる時間などは、想像以上に通所のハードルに影響します。
特にきょうだいがいる場合や、親が働いている場合などは、時間の調整がより困難になるかもしれませんよね。
毎日の通所を負担に感じてしまうと、親子ともにストレスが溜まりやすく、せっかくの療育効果も薄れてしまいかねません。
そのため、無理なく通える範囲にあるかどうかを確認し、送迎サービスがある場合はそのルートや時間帯についてもよく確認しておくことをおすすめします。

通うのが子どもだけだとしても、急な発熱などでお迎え要請があったり、先生との面談で親御さんも施設に足を運ぶ機会が多いかもしれません
また、天候や体調不良の際にも対応できる距離感かどうかを考慮しておくと、いざというときに安心でしょう。
施設の提供サービスや内容だけでなく、継続できる通所環境づくりも、施設選びの大切な視点です。
療育施設の選び方のポイント

それでは、療育施設の選び方のポイントをまとめてみましょう。
先にご紹介した「療育施設を選ぶ前にすべきこと」をクリアしたら、次に実際の施設を選ぶ段階に入ります。
ここからは、施設をじっくり絞り込んでいくために、より入念にチェックポイントを見ていきましょう。
どんな療育を重視しているか
療育を選ぶ際、まずポイントになるのは、施設が「何を重視しているか」です。
たとえば、遊びや人との関わりを通して社会性を育てる療育を重視しているのか、言語や運動などの特定領域に重点を置いているのかによって、子どもに合う合わないが変わってくるでしょう。
それだけでなく、子どもが療育に通う目的にマッチしているかどうかも重要です。
コミュニケーションスキルや集団生活における課題があり、集団療育を受けたいと思っている場合には、ソーシャルスキルトレーニングを行っている療育が適しているでしょう。
しかし、選択を見誤って言語系や運動系に行ってしまうと、理想的な療育を受けられない可能性がありますよね。
療育の種類は多種多様です。
検討中の療育が何に特化していて、どういうスキルを伸ばせて、どんな子に向いているのかを把握しておきましょう。
子どもの様子を観察できるか
療育施設を選ぶうえで、子どもが療育を受けている様子を観察できるかどうかも大事なポイントになります。
よくあるのは、子どもが療育を受けているのとは別部屋で、モニターを通して観察ができるシステム。
子どもからは親の姿が見えないので気が散ることもなく、親御さんは静かにゆったりと子どもの様子を見ることができます。

先生からのフィードバックはありがたいですが、実際に子どもの様子を見ることができると安心しますよね
子どもの様子を見ることで、レッスン後に先生に「〇〇の活動のとき、うちの子が立ち歩いてしまっていたと思うんですが、何か理由がありましたか?」など、気になる場面についてこちらから質問することができるのもメリットでした。
先生からのフィードバックは、先生が気になった点や親に伝えたいことがメインです。
しかし、親が知りたいことや見たい場面はまた違うこともありますよね。
そのため、子どもの様子を観察できるタイプの療育は「子どもがどのように療育を受けているのかしっかり見届けたい」と思っている親御さんにおすすめです。
親のサポート体制が整っているか
療育を選ぶ際には、親に対するフィードバックやサポート体制があるかどうかも大事な要素です。
毎回の活動の記録や、保護者への報告、家庭での関わり方へのアドバイスなどがある施設では、子どもの変化や成長を親も把握しやすく、安心して通わせることができるでしょう。

幼稚園の面談は学期に1度だったけど、療育の面談は毎回してくれて、本当にぜいたくな時間でした
また、療育では親御さん向けに子育て相談の機会をもうけてくれたり、ペアレントトレーニングなどの講座を受ける機会を提供してくれたりします。
このように、親に対するサポート体制が整っている療育は、信頼できるポイントです。
発達障害児の育児は、子ども本人だけでなく親も追い詰められていたり、限界が来ていたりすることがありますよね。
子どもだけでなく親にも意識を向けてくれる療育であれば、一緒に子どもを見守り、育ててくれる心強いパートナーになるでしょう。
先生の対応と専門性は、療育の質を大きく左右します。
質の高い支援を受けるには、スタッフとの相性や信頼関係も非常に大切なポイントになりますよ。
最初から完璧な施設を選ぼうとしなくてOK

どれだけ入念に調べて選んだ施設でも、実際に通ってみたら「子どもが嫌がる」「思ったようなサポートが受けられない」と感じることもあるでしょう。
そんなとき「せっかく選んだのに」「もう変えられない」と思い詰めず、必要であれば思い切って見直すことも選択肢に入れてみましょう。
子どもが療育を心地よく受けられるかどうかは、親の目線だけでは分からない部分も多くあります。
しばらく通って様子を見て「やっぱり合わないかも」と思ったときには、他の施設に再度見学に行くのも1つの手段ですよ。
施設選びはゴールではなく、あくまでスタートラインです。
子どもが安心して成長できる場所を、焦らず柔軟に探していきましょう。
まとめ
療育施設の選び方には正解があるわけではありませんが、大切なのは子どもに合っているかどうかを見極める視点です。
施設の種類や方針、通いやすさや親へのサポート体制など、さまざまな要素を総合的に考えてみましょう。
そして、最初の選択がすべてではないということも覚えておきましょう。
子どもの成長にあわせて見直すことも自然な流れであり、子どもにとって最も安心できる場所がどこなのか考えながら、焦らずゆっくり選べたら良いですね。
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