「うちの子、ちょっと他の子と違うかも…?」
そんなモヤモヤを感じると「発達障害」や「グレーゾーン」という言葉が気になりはじめるかもしれません。
けれど、専門用語や診断名を聞いても実際には「それってどういうこと?」とピンとこない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、発達特性をもっと身近に感じてもらうために、国民的アニメのキャラクターたちを「たとえ話」としてご紹介します。
たとえば
「のび太はADHD?」
「ジャイアンの自己中心さはASD傾向?」
「山田くんの落ち着きのなさは多動?」
こういった視点で見てみると、発達の特性が意外と身近なものであることに気づけるでしょう。
もちろん、キャラクターには診断名がついていません。
「こういう子いるよね」
「うちの子に似てるかも」
と感じることが、理解の第一歩になると良いなと思います。

国民的アニメのあの子も発達障害?

私たちが子どもの頃から親しんできた国民的アニメ。
その登場人物たちの行動をあらためて見返すと「あれ?この子の行動、発達障害…?」と感じることがありませんか?
たとえば、のび太くんの忘れ物の多さや集中力のなさはADHDの特徴に通じる部分がありますし、ジャイアンの自己中心的なふるまいは、ASD(自閉スペクトラム症)に見られる傾向と重なる場面もあります。
もちろん、これらのキャラクターが発達障害だと断定するわけではありません。
あくまでもたとえ話として「こういう行動にはこんな背景があるかもしれない」と思うことで、発達障害を理解する助けになればと思います。
特性のある子どもの行動は、一見すると“困った行動”に見えることもあります。
しかし、視点を変えると「ちょっと不器用だけど愛すべき個性」にも見えてきますよね。
そんな憎めないアニメキャラを通じて、発達障害の特徴をやわらかく捉えるヒントを探っていきましょう!
『ドラえもん』キャラの発達特性

まずは『ドラえもん』に出てくるキャラクターたちの発達特性を見てみましょう。
『ドラえもん』に関しては、実際に「のび太・ジャイアン症候群」という言葉が生まれています。
精神科医・司馬理英子氏が命名した造語で、正式な医学用語ではありません。
司馬理英子氏が自身の著書内で、ADHDについて記述する際に「のび太タイプ」と「ジャイアンタイプ」と分類し、例えたもの。
このように『ドラえもん』に出てくるキャラクターにはすでに発達特性があると考えられています。
司馬理英子氏の著書内ではこの「のび太・ジャイアン症候群」という言葉に対し、ADHDに特化したたとえ話が記述されています。
この記事ではさらに範囲を広げて、さまざまな発達障害の可能性を探ってみたいと思います。
のび太はASD・ADHD・LDの可能性

『ドラえもん』の主人公である野比のび太は、ASD・ADHD・LDの3つを併せ持っている可能性があります。
発達特性のあるアニメキャラクターとして名前が挙がりやすいのび太くんは、作中でも「困った子」「できないことが多い子」「いじめられっ子」のようなイメージがありますよね。
のび太がASD・ADHD・LDの3つを併せ持っているとみられる、その特徴を見てみましょう。
授業中にすぐ寝る
のび太は、授業中に居眠りをして先生に怒られたり、廊下に立たされたりすることがあります。
のび太は推定小学4~5年生とみられ、通常は1~6時間目まで授業を受ける学年ですが、集中力がないのか授業を受け続けることが苦手なようです。

先生にチョークを投げられて起こされるシーンはインパクトありますよね

のび太の特技は「どこでも寝られること」。
そうとはいっても、授業中はできれば寝ないほうが良いですよね。
しかし、集中力が欠如しているのび太は、授業中に退屈さを感じると眠くなってしまうようです。
集中力の欠如は、ADHD(注意欠如多動症)の特性とみられます。

しかし「どんな体勢でも寝られる」「3秒で寝られる」などのキャラ設定として捉えることもできるでしょう。
学習に極端な偏りがある
のび太は勉強が苦手で、テストは毎回のように0点ですよね。
小学校5年生のテストであれだけ0点を取るのは、逆に難しいことです。
というわけで、のび太は基礎的な国語力が定着していない可能性があります。
また、算数においても0点をとっているので、簡単な計算でさえも苦手傾向にあるようです。

このことから、のび太はLD(学習障害)を持っている可能性もあるでしょう。
知能指数(IQ)を算出する検査の中に「ワーキングメモリ」という項目があり、このワーキングメモリの数値が低いと、学習能力が低くなります。

要は、何度説明されても理解できないという状態ですね
もしのび太のワーキングメモリを含む検査項目の数値が低い場合、知的障害を持っている可能性も考えられるでしょう。
何度言われても忘れ物をする
のび太は、宿題をやらなかったりプリントをなくしたりすることがよくあります。
もちろん、誰にでも忘れ物をすることはありますが、のび太の場合過度な不注意傾向がみられます。
何度言われても同じ忘れ物をしたり、やらなければいけない宿題を放棄したりする様子も、ADHDに該当するでしょう。
のび太の場合は、先生やママから怒られることが多いため「どうせやったってできるようにならない」と、最初から投げ出している様子もみられますね。
単純に自己肯定感が低く、達成感の経験不足である可能性も考えられます。

もしそうなら、適切なアプローチをすることで改善の可能性も…!
のび太ママ、放デイや支援級への在籍を検討してみては?
一部の才能に特化している
のび太は苦手なことが多い一方、特定の才能に秀でているキャラクターとしても知られています。
たとえば、射的やあやとりなどですね。

基本的な学習や生活習慣は身についていないけれども、自分の好きなことには熱中して取り組み上達している様子を見ると、ASD(自閉スペクトラム症)の傾向もみられます。
この点をみると、のび太は「集中力が欠如している=ADHD」ではなく「集中力のコントロールができない=ASD」という可能性が高くなってきました。
また、射的が得意ということで、のび太は「空間認知能力」に優れていることになります。
そのため、のび太くんはギフテッドである可能性もあるのです!

いや、でもギフテッドはIQが高い状態をいうから、勉強が苦手なのび太くんは当てはまらないのでは?

そこですよね!
のび太くんは部分的に「ギフテッド的な特性」を持つ発達障害の可能性があるかもしれません
しずかちゃんのお風呂を覗く
のび太は昔のドラえもんシリーズで、よくどこでもドアを使ってしずかちゃんのお風呂を覗きに行くシーンが描写されていましたよね。

あれは本当にキモかったよね!
昨今ではコンプライアンスの関係で放送されなくなりましたが、当時はギャグ要素として定番のシーンでした。
のび太は小学4~5年生という設定なので、性への意識が目覚めていても不思議ではありません。
よって、女子のお風呂を覗きたくなる気持ちは、正常な発達でも起こり得ることなのだそうです。
しかし!!
同時に小学4~5年生というと、性行動そのものにブレーキをかける「認知」や「道徳性」も発達する年齢。
そのため、何度「やめて」といわれてもお風呂を覗きに行ってしまうのび太の行動は「成長過程の逸脱である」と考えられるでしょう。

衝動性や抑制の弱さがみられるので、ADHDの可能性がありますね
ジャイアンはASDの可能性

続いて、のび太をいじめるジャイアンについて見てみましょう。
ジャイアンを見ていて一発で問題視するのは、やはり暴力性のある人格ではないでしょうか。
大きな身体で突然殴りかかってくるので、子どもをもつ人はあまり近寄りたくないガキ大将ですよね。
そんなジャイアンの性格は、ASD(自閉スペクトラム症)に当てはまる部分があります。
空気の読めない1人リサイタル
ジャイアンはよく、のび太やスネ夫、しずかちゃんまで誘って、空き地でリサイタルを行っています。
衣装やチラシも用意し、人の気分を悪くさせるほど大音量のマイクを使って、晴れ晴れと歌う姿が印象的ですね。

聴いている人たちは、脳が割れそうなほど苦痛な思いをしているにもかかわらず、それに気づかず(気づこうとせず)自分の歌が上手だと信じて疑いません。

実際に苦情が来ているのに「うるせぇ!」って聞く耳を持たないのも厄介ですよね…
この点をみると、ジャイアンは自分が気持ちよく歌いたい欲望を最優先し、他者の気持ちを無視する傾向があります。
想像力が欠如していることから、ASD(自閉スペクトラム症)の可能性があるでしょう。
感情のコントロールが苦手で暴力的
ジャイアンといえば暴力といっても不思議ではないほど、よくのび太やスネ夫に殴りかかる場面がみられます。
自分が気に入らないことがあるとすぐに手が出てしまうので、感情のコントロールを学ばないと将来が懸念されますね。
怒りのスイッチが早く、考えるよりも先に手が出てしまう上に、暴力をふるったあとに謝る場面もみられません。
この点をみると、ADHD(注意欠如多動症)の可能性も考えられますが、1点気になることがあります。
それは、ジャイアンは暴力を振るう人を選んでいるということです。
のび太やスネ夫には暴力をふるいますが、しずかちゃんや妹のジャイ子、そして出木杉くんなどほかのメンバーには落ち着いて対応していますよね。
このことから、ジャイアンには衝動性があるように見えて、実はある程度コントロールが可能なのではないかと考えられますね。

もしジャイアンが暴力をふるう相手を選んでいたとしたら、何か他に問題がありそうだね…

確かに。
自己肯定感の低さや愛着障害という可能性も考えられるよね…
二面性があり情緒が不安定
ジャイアンはASDの要素を持ち、身勝手とされる言動が目立つタイプです。
しかし、問題なのは「家では良い子である」という点でしょう。
ジャイアンは店を継ぐ意思があり、長男として確固たる責任感を感じるたくましさもあります。
母ちゃんを恐れたり、妹には優しかったりと、友達への態度とはまったく違う一面を見せますよね。

この特徴からは、普段の強がり・粗暴さの裏に「自分を認めてほしい」「注目してほしい」という願いがあらわれている可能性も考えられます。

確かに、ジャイアンは普段暴力的だけど映画では優しかったり、のび太のピンチを救ってくれたりすることもあるよね
ただのいじめっ子キャラではなさそうなのも、ジャイアンの特徴かもしれません。
『ちびまる子ちゃん』キャラの発達特性

続いては『ちびまる子ちゃん』に出てくるキャラクターを見てみましょう。
『ちびまる子ちゃん』は、作者・さくらももこさんの小学3年生の頃が舞台となった作品なので、時代背景は1974年(昭和49年)ごろとされています。
まるちゃんが住んでいるのは静岡県で、通っている小学校は「清水市立入江小学校」であることも有名ですね。
そんな昭和の時代を描いたちびまる子ちゃんの中には、ちょっと不思議な行動や個性的な性格を見せるクラスメイトがいます。
当時は「発達障害」という言葉も浸透していませんでしたが、現代に置き換えると発達障害の特性をもったキャラクターがいましたので、詳しく見てみましょう。
山田くんはADHDの可能性
『ちびまる子ちゃん』を見ていて「変わっているなぁ」と思うクラスメイトといえば、山田くんではないでしょうか。

ユニークでユーモアたっぷりな山田くんだけれど、時々まるちゃんやたまちゃんもドン引きするような言動をすることがありますよね。
アニメで見ている分にはおもしろいですが、実際に山田くんタイプの子がいたら、ADHD(注意欠如多動症)を疑われる可能性があるでしょう。
どのような点に発達特性を感じるのか、見てみましょう。
常に声が大きく落ち着きがない
山田くんは常に声が大きく、多弁である印象がありますね。
おしゃべりで落ち着きがない様子から、ADHDの傾向を感じます。
あまり知られていませんが、山田くんの名前は「笑太」(しょうた)。
笑うという字が使われていて、素敵な名前ですよね!
その落ち着きのなさでクラスメイトをドン引きさせたり、トラブルを招いたりすることもありますが、そのわりに嫌われてはいないキャラクターです。
山田くんには発達特性を感じますが、結局のところ「憎めないキャラクター」としてクラスに馴染んでいたのでしょう。

空気が読めない
いつも楽しそうにおしゃべりしながら、まるちゃんやたまちゃんに話しかけてくるのが可愛らしいクラスメイトです。
しかし、楽しそうにしているのは山田くんだけで、周囲はけっこう引いている…という場面もありますよね。

『ちびまる子ちゃん』のエピソードの中には、山田くんが内緒の話をバラしてしまったり、その結果まるちゃんたちが怒られるはめになってしまったりと、空気を読めない行動が目立ちます。
約束を守れない、秘密を平気でバラす、人のものを触って壊す、呼ばれていない誕生日パーティーに勝手に行く…
数々の伝説に、ADHDとしての発達特性を感じずにはいられません。
もし本当に空気を読むのが苦手なのだとすれば、ASD傾向も認められるでしょう。
周囲とのズレを感じさせるキャラクター設定
山田くんは、まるちゃんたちの中でも特にインパクトの強いキャラクター設定ですよね。
『ちびまる子ちゃん』自体、作者・さくらももこさんの幼少期がモデルになっていますが、実は山田くんはフィクションなのだそうです!
実在していたら、山田くんはクラスになじむのが厳しかったかもしれませんし、親御さんも困ることがたくさんあったかもしれませんね。
しかし『ちびまる子ちゃん』は発達特性のある子どもたちを描いた物語ではないため、あくまでユニークなクラスメイトというデザインだったのでしょう。
前田さんはASDもしくはグレーゾーンの可能性

正義感が強くキツい性格が特徴的で、ときに鼻を真っ赤にして怒り狂うクラスメイト・前田さん。
わたしも子どもながらに「前田さんみたいな人がクラスにいたら嫌だな…」と思っていました。
前田さんを見ていると、先生や親御さんも扱いづらそうなASDの特性を感じます。
しかし、普段のコミュニケーションに問題がないため、部分的にASDの特性が出るグレーゾーンの可能性もあるでしょう。
ヒステリックを起こす
前田さんは、よく鼻を真っ赤にして怒り狂い、地団駄を踏む姿が描かれています。

単に「短気」「性格が悪い」では済まされないほど、何か特性を抱えていそうな気がしますね。
ただ怒るのではなく、クラスメイトが引くほど叫び狂ったり、特定の誰かに集中的に怒鳴ったりする人格は、危険な香りもします。
明らかに情緒のコントロールが難しいタイプで、ASD系のグレーゾーンである可能性があるでしょう。
プライドが高く、誰かの何気ない発言に過剰に反応し怒り狂うところを見ると、ASDにみられる感覚過敏の特性も感じられます。
発達障害以外の要因でいえば、家庭環境が影響する愛着障害の可能性も考えられますね。

大人になったらメンヘラみたいになりそうだけど…ちびまる子ちゃんのキャラクターは成長しないからその心配は無用かも
強いこだわりがある
前田さんはこだわりやプライドが強く、自分の思い通りにならないと癇癪を起こすタイプです。
ASDを持っていると癇癪が出やすい傾向にありますので、前田さんもそのタイプなのかもしれません。
ASDは強いこだわりや柔軟性の欠如が特性としてありますが、前田さんも自分の価値観に固執する性格であることが分かりますね。
しかし、前述のように情緒が不安定なだけという可能性もあり、前田さんにとって「心から安全だと思える場所がない」という状態なのかもしれません。
そのため、自分が不安になるとわめいたり怒鳴ったり、パニックになってしまうのでしょう。

発達障害と紙一重だけど、愛情不足がこのような性格の原因になることもあるんだね
『サザエさん』キャラの発達特性

『サザエさん』は、太平洋戦争直後1946年(昭和21年)の日本が舞台になっています。

ちびまる子ちゃんより30年近く前の話なんだね!
現在は平凡な家族を描いたほのぼの作品ですが、当初は戦後の庶民生活や政治風潮を皮肉った「風刺漫画」としてスタートしました。
そんなバックグラウンドもあってか『サザエさん』登場するキャラクターたちはちょっぴりクセのある人物ばかり。
さまざまな登場人物を掘り下げて、性格を分析してみましょう。
サザエさんはADHDの可能性

まず、主人公のサザエさんです。
おっちょこちょいでうっかりさんとして知られるサザエさんですが、年齢設定は24歳。
しかし「この時代の24歳にしては幼稚すぎないか…?」と感じることがありませんか?
その原因は、サザエさんにADHDの特性がみられるからかもしれません。
具体的にどのような点がADHDの特性と合致するのか、見てみましょう。
買い物に行くのに財布を忘れる
サザエさんの歌で有名な歌詞が、こちらです。
買い物しようと街まで出かけたが、財布を忘れて愉快なサザエさん♪
歌やアニメの設定として見ればおもしろいですが、真剣に考えれば考えるほど
買い物に行くのに財布を忘れるってヤバくないか…?
と感じるのではないでしょうか。
買い物ってむしろ財布だけあればできるものであって、その財布を忘れるという行為は、なかなか珍しいですよね。
買い物に必要なたった1つのものを忘れてしまう辺りから、ADHDの不注意さが見て取れます。
しかし、オープニングテーマのワンシーンだけで「ADHDではないか」と断定はできません。
サザエさんが作中で見せる、ほかの場面についても見てみましょう。
衝動性があり20代なのに父親に怒鳴られる
サザエさんは24歳既婚、さらに3歳の子どもを育てるママですが、それにしては頼りないと感じることがありませんか?
無計画に出かけようとしたり、衝動的に買い物をしたり、家族を振り回したり…
それゆえ、父親である波平からこっぴどく叱られることもありますよね。


よく考えてみれば、24歳既婚子持ち女性がうっかりミスで父親に怒鳴られ正座させられてるって、異常な光景だよね…
サザエさんは自分の家族と同居しているため、ある程度甘えているのかもしれませんが、サザエさんがどれだけうっかりしていても家庭が回るという恵まれた環境が、サザエさんを成長させないのかもしれませんね。
カツオはグレーゾーンの可能性

続いては、サザエさんの弟で小学5年生のカツオです。
カツオはお調子者でかわいらしい小学生男児というイメージですが、実際にいたら扱いづらい子どもだと思います。
学校や家族、ほかの大人の前では猫をかぶり賢いキャラを演じますが、嘘やごまかしが多く、嫌いなことを上手に回避する要領の良さを持っています。
アニメで見ると憎めないキャラですが、発達界隈でいうとグレーゾーンの可能性があるでしょう。
衝動性がある
カツオは思いついたことを即実行する行動力があります。
その場の言葉・アイデアで切り抜けるのが得意で、嘘やごまかしの即興能力も高いですよね。
どんなときも決断が早く、また衝動的に行動する傾向にあるため、若干のADHD特性がみられるのではないでしょうか。

でもカツオの場合、ADHDの特性があっても結局賢いからいろんなことに成功しているし、何より自分に自信があるのが伝わってくるよね
カツオはグレーゾーンの特性からくる生きづらさを隠すため、また叱られたり自分が不利になったりするのを回避するため、衝動的にあらゆることを計算して行動しているのかもしれません。
過剰に世渡りがうまい
カツオは、大人の前ではうまいことやり過ごしますが、やりたくないこと(サザエさんから頼まれたおつかいや宿題など)を巧みに回避したり、そのために大人を利用したりすることがあります。
また、自分に不利な状況を直感的に察するのも上手で、先手を打つのも上手です。
怒られても「自分を守るための言い訳」を即座に考えられる頭の良さも兼ね備えているため、状況察知能力に優れた賢い子でもありますね。
このように高度に社会スキルがある子どもは、グレーゾーンである可能性がありますね。
大人から見て「困った子」という位置づけ
カツオは、大人を欺いたりやりたくないことを巧みに回避したりする行動で、先生や親から「困った子」という位置づけにされています。
妹のワカメちゃんや甥のタラちゃんと比べると、カツオはかなりの問題児として扱われていますよね。
このような描写から、カツオは家族の中で「やんちゃな男の子」であり、クラスでは「コミュ力は高いが周囲を振りまわす奴」のようなイメージがついています。
実際にカツオのような子どもはたくさんいると思いますが、社会性に長けすぎていて扱いづらそうですよね。

空気が読めすぎる、頭の回転が速すぎることで、グレーゾーンが疑われるケースもあるんだね!
『クレヨンしんちゃん』キャラの発達特性

『クレヨンしんちゃん』は、かつて性的描写が多かったことで「子どもに見せたくない」と思う親御さんも多かった作品です。
もともとギャグマンガとして生まれた作品なので、下ネタや暴力(げんこつなど)シーンも笑える程度に含まれています。
そんなギャグマンガの中に出てくるしんちゃんたち登場人物は、なかなかクセのある人ばかりです。
しんちゃんはASD・ADHDの可能性

まずは、主人公のしんちゃんから見てみましょう。
しんちゃんはまだ幼稚園児のため「発達障害に違いない」と決めつけるのは早いですが、現段階ではASDとADHDを併せ持つ子どもではないかと思われます。
わたしも『クレヨンしんちゃん』を見ていて、しんちゃんが幼稚園児だと信じられないくらい大人びた発言や嗜好があると感じていました。
それらは、単にしんちゃんの精神年齢が高いのではなく、発達特性に結びつくこともあるようです。
人前でお尻や局部を出す
しんちゃんは人前でお尻や局部を出す癖があります。
最近ではコンプライアンスの関係もあり、露骨な下ネタシーンは減ったようです。
しかし、かつては局部にぞうさんの絵を描いてダンスしたり、お友達に「ケツだけ星人ぶりぶり~!」を広めて親御さんたちをドン引きさせたりすることもありました。
アニメで見る分にはギャグ要素が満載でおもしろいですが、実際に子どもがお尻や局部を出すというネタを覚えてしまったら、一抹の不安を感じてしまいますよね。

特に最近は性教育が話題になっているから、幼稚園児とはいえ性的なジョークは笑えない風潮も…
しんちゃんの場合、お尻や局部を出すことで性的興奮を覚えているわけではなく、単に自分をアピールし、自慢のダンスを披露したいという欲求があるようです。
特にネネちゃんなど女児は「キャーッ!」と言って顔をそむけることがありますが、それでも懲りないところに、ASDの特性を感じますね。
周囲が嫌がっていることをアピールしてもなお、自分のやりたいことを貫こうとする性格が、特性にマッチしています。
性に対し大人びた一面がある
しんちゃんはまだ幼稚園児であるにもかかわらず、性的な知識が豊富なキャラでもあります。

綺麗なお姉さんを見ると「おねいさ~ん♡」と駆け寄りナンパしたり、胸やお尻などに注目したりしますよね。

しんちゃんだから面白いけど、実際にそんな幼稚園児がいたらちょっと嫌かも…
定型発達においても、幼稚園児が女性の身体や性的な表現に興味を示すことは、じゅうぶんに考えられます。
子どもって、局部の名前や「うんち」などという言葉で大爆笑することがありますよね。
それと同じく、非日常的に感じられる言葉やシーンが気になったり、また自分の身体とは違う造りをしていることで興味を示したりすることがあります。
一般的な場合、性的な意味合いはありませんが、しんちゃんの場合顔を赤らめてグラビアページを見ていたりするので、ある程度性の意識が目覚めているように感じます。

『クレヨンしんちゃん』自体がギャグマンガだから、あくまで誇張したキャラに過ぎないんだろうけどね
人の話を聞かない
しんちゃんは幼稚園でも家でも、基本的に人の話を聞きません。
人が話している最中に割り込んだり、相手の弱みに付け込む発言をして進行を妨げたりすることもありますよね。

担任の吉永先生には「男に振られたくせに」と言ったり、まつざか先生には「彼氏募集中なんでしょ?」と煽ったりしますよね(笑)

話に集中するのが難しく、集団行動も苦手なように見えます。
このような様子を見ると、しんちゃんにはADHDの特性がみられることが分かりますね。
一見「まだ幼稚園児なのだからちゃんとできなくて当たり前」と思われるかもしれませんが、幼稚園児でも集団行動ができないと「発達遅延の可能性」といわれることはザラにあります。
発達障害という名前のなかった時代と比べると、現代の判断基準が違っていることを理解しなければなりませんね。
ネネちゃんはグレーゾーンの可能性

しんちゃんの幼稚園にいる女児・ネネちゃんは、発達障害とまではいきませんがグレーゾーンの可能性があるでしょう。
ネネちゃんはおままごとが好きで、若干支配的な性格をもったボス的存在。
ふだんは可愛らしいですが、ネネちゃんに特性を感じるのは、怒ったときです。
ぬいぐるみをボコボコにする
ネネちゃんは、機嫌が悪くなるとウサギのぬいぐるみをどこからともなく持ってきて、隠れてボコボコにしていますよね。

アニメとしておもしろいシーンですし、もはやネネちゃんの定番アクションとして定着しています。
しかし、実際に機嫌が悪いときぬいぐるみをボコボコにする子どもがいたら、不安感に襲われませんか?
あくまでギャグマンガのワンシーンであることは前提の上ですが、ネネちゃんの行動はASDグレーゾーンの傾向が疑われるでしょう。
ASDは自分の気持ちを表現するのが苦手なことがあり、自分の意図が伝わらないとき癇癪を起こしやすいともいわれています。
ネネちゃんは自分の思いを素直に伝えられないとき、ぬいぐるみをボコボコにしていますよね。
これは、癇癪と同類の行動とみられることがあるでしょう。
しかし衝動性はない
ネネちゃんがぬいぐるみをボコボコにしているシーンを見てみると、衝動性がないことがわかります。

そうそう、一旦ブルーな気持ちになって、静かにぬいぐるみを取り出して、別の部屋に行くんだよね!
子育てをしていると「アンガーマネジメント」という言葉を聞いたことがあると思います。
「怒りを収めるには、いったん冷静に6秒数えてみる」という方法が有名ですよね。
ネネちゃんは6秒以上をかけて怒りを収め、ぬいぐるみを押し入れもしくはスカート(!?)から取り出し、別の部屋に移動してぬいぐるみを殴り始めます。
衝動性が感じられない点からも、ADHDの可能性は低そうですね。
情緒不安定の可能性
ネネちゃんの怪奇行動は、発達障害やグレーゾーンのほかに、情緒不安定である可能性も考えられます。
ネネちゃんは、怒りを直接相手にぶつけるのではなく、安全な対象に置き換えて発散していることが見て取れます。
これはきわめて高度な感情処理方法といえるでしょう。
また、ネネちゃんは家族の前や幼稚園ではとっても良い子ですよね。

その反動で、ぬいぐるみという対象物を選んでストレスを発散しているのだとしたら…
ネネちゃんの行動は「外でいい子を演じて家で暴れる」「感情を抑えてきた子が急にパニックを起こす」という現象によく似ています。
ネネちゃんのママはやや厳しくしっかりした印象がありますので、ネネちゃんの情緒を不安定にさせる一因になっている可能性もありますね。

ネネちゃんのママも同じようにぬいぐるみを殴るタイプだから、シンプルに親の真似をしている可能性も…

仮にそうだとしてもヤバいけどね…

まとめ
いかがでしたでしょうか?
みなさんもよく知る国民的アニメのキャラクターと、発達障害という身近なテーマを掛け合わせ、徹底分析してみました。
もちろん、キャラクターたちが発達障害を持っていると断定するわけではありません。
アニメの中でも、彼らが発達障害を持っていると発表されていませんし、マンガの演出やギャグである可能性は大です。
しかし、子どもの発達について気になる親御さんにとって、アニメのキャラと重ね合わせて考えることは発達障害や子どもの特性を身近に感じながら、理解を進めることができる方法です。
「この子のこの行動にはこういう意味があったのかも」
「あの子はこういう困りごとがあったのかも」
そんなふうに、アニメの世界の向こう側を覗くような気持ちで、発達障害について気になる親御さんに読んでいただければ幸いです。
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