児童扶養手当を受給しているひとり親家庭にとって、毎年欠かせない手続きが「現況届」の提出です。
しかし「なぜ必要なの?」「提出を忘れるとどうなるの?」と不安に感じる方もいるでしょう。
現況届は、児童扶養手当の受給を継続するための大切な書類であり、提出しないと手当がストップしてしまうこともあります。
この記事では、現況届の基本から提出時期、必要書類までを分かりやすく解説。
安心して手続きを進められるよう、サポートします!

児童扶養手当とは

児童扶養手当は、ひとり親家庭の生活を支えるための制度。
支給額は、所得や扶養している子どもの人数によって変わり、判定は前年の収入を基準に行われます。
通常、0歳から18歳になった最初の3月31日まで(障害がある場合は20歳未満まで)支給されることになっています。
申請は、住民票のある市区町村の窓口で行い、その際所得状況や扶養状況を確認する書類が必要です。
児童扶養手当は最初に申請し、審査に通れば受け取る資格が与えられますが、毎年その権利があるかどうかを審査されることになっています。
その際、必要な届出が「現況届」です。

次の項目でくわしく解説します!
児童扶養手当の現況届とは

児童扶養手当を受け取っている家庭は、一度申請して終わりではなく、毎年「現況届」という書類を提出する必要があります。
これは、受給者の収入や子どもの状況が変化していないかを確認し、引き続き手当を受けられるかどうかを審査するための手続きです。
忘れずに提出しなければならない重要な届出なので、通知が来たらすみやかに対応するようにしましょう!

提出が遅れてしまうと、手当をもらえるタイミングが遅くなってしまったり、最悪の場合手当がストップするおそれも…!
それでは、ここから現況届についてくわしく解説していきます。
提出時期は?
現況届は、毎年8月1日から31日までの間に提出することになっています。
提出時期が近づくと、郵送で現況届に必要な書類が送られてきますので、すみやかに準備を始めましょう!

わが家には7月中に通知が届きました!
提出方法は?
基本的に現況届は、市区町村の役所窓口に必要書類を持参して提出します。
しかし、自治体によっては郵送やオンライン申請に対応している場合もあります。
提出方法や必要書類は各自治体で異なるため、事前に役所から送付される案内やホームページで確認しておくと安心ですね。

わたしは最初、書き方がわからなかったので、窓口に持って行って教えていただきながら記入しました
提出書類は?
現況届を提出する際に必要なものをまとめてみました。
自治体によって多少異なるようですが、全国的に共通して提出が求められるものを見てみましょう。
児童扶養手当現況届
現況届の用紙は「児童扶養手当現況届」といい、通常郵送で送られてきます。
主に子どもや世帯の状況、就労状況、養育状況を明記するものです。
記入例もついていますので、難しいことはあまりありませんでした。
児童扶養手当を申請したときの情報がすでに書かれており、変更がなければほとんど書き足すことはありませんでした。
生計維持の状況について
生計維持の状況について書く用紙があります。
記入することは、主に以下の項目でした。

えぇっ…けっこう赤裸々に書くんだね
この用紙で、その家庭がどのようにして生計を立てているかがわかるようになっています。
給与や手当のみで生活できているのか、それだけでは足りず貯金を切り崩しながら生活しているのか、リアルな生活状況を役所に伝える必要があります。
同居人申告書
同居人申告書は、主に自分と同居人の名前や年齢、学校名などを明記するものです。
わが家の場合、ずっと子どもと3人暮らしなので、特に変更はありませんでした。

子どもの学年だけ、毎年変更する必要がありますね
養育費に関する申告書
養育費を受け取っている人は、養育費についても細かく申告する必要があります。
具体的には、何月何日にいくらもらったのか、手渡しか振込か、などです。
毎月決まった日付に、決まった金額が振り込まれる場合は書くのも簡単ですが、そうでなければ振込履歴をさかのぼり、1件1件ていねいに書く必要があります。

銀行アプリを1ヶ月ごとにさかのぼり、にらめっこ状態でした(笑)
ちなみに、わたしの住む地域の「養育費に関する申告書」には
養育費をもらうのが初めての年である場合、日にちも書いてください
と書かれていました。
わたしは初めてだったので日にちまで細かく書きましたが、来年からは書かなくて良いのかもしれません。
本人確認書類
マイナンバーカードや運転免許証、健康保険証、パスポートなどの本人確認書類が必要なことがあります。
わたしの場合、書類の中にマイナンバーを書く欄があり、本人確認書類は提出せずに受理してもらえました。
受給者および扶養する子どもの所得証明書
受給を申請する人や、子どもの所得証明書が必要な場合があります。
しかし多くの自治体では、所得状況を市区町村が自動で確認するそうです。
転入したばかりの場合は、提出を求められることがあります。

わたしの場合も、現況届にもともと確定申告した金額が明記されていたので、特に所得証明書は必要ありませんでした
児童の在学証明書や学生証のコピー
高校生以上の子どもがいる場合、進学しているかどうかを確認するために、在学証明書や学生証のコピーが必要になります。
わが家は2人とも小学生で義務教育なので、不要でした。
現況届を提出しないとどうなる?

もし現況届を提出し忘れてしまうと、児童扶養手当の支給は一時的に停止されてしまいます。
後から提出すれば再開されますが、その間に発生した未支給分がすぐにまとめて支払われるとは限りません。
結果的に、家庭の家計に影響を及ぼす可能性があるため、提出期限は守るようにしましょう!

提出期限は基本的に守るべきだけど、お役所関連のものだからなおさら気をつけたいですね…!
現況届は何を確認される?

現況届で確認されることは、主に以下のものです。
児童扶養手当の受給資格があるか
現況届によって、その家庭が現在も児童扶養手当を受け取る資格があるかどうかを判定します。
たとえば、対象児童が18歳になっていた場合には受給資格がなくなります。
また、子どもが施設に入ったり、里子に出されていたりすれば、当然その家庭では児童扶養手当が不要になるというわけです。
ひとり親状態が継続しているか
現況届によって、その家庭がひとり親状態であるかどうかを確認されます。
児童扶養手当はひとり親を対象に支給されるので、仮に離婚したパートナーと復縁していたり、また別の人と結婚・再婚していたりすれば、受給資格はなくなるわけです。
それだけでなく、事実婚をしていたり、籍は入っていなくとも同居していたりすれば、婚姻関係と同等の状態にあるとみとめられることも。

俗にいう「内縁関係」ってやつですね
また、子どもを養育しているのが親以外であるケースもあります。
たとえば、おじいちゃんおばあちゃんの家で養育していたり、サポートしてもらっていたりする場合にも、受給の条件を満たしているかどうかをチェックされます。

祖父母に助けてもらっている=手当はいらない、という風にはみなされないんだね

少しでも助けてもらっていると手当が減ると思ってしまいますよね!
多額の金銭的援助がない限り、厳しく手当がカットされることはないようです
所得状況
受給者本人や同居家族の所得を見て、手当の支給制限額を超えていないかがチェックされます。
所得は、前年の収入で判定されます。

わが家はわたしがフリーランスで収入や所得に波があるので、1ヶ月だけバーンと収入が多い月なんかがあるとヒヤヒヤしちゃう…
子どもの養育状況
誰が子どもを監護・養育しているのかをチェックされます。
仮に子どもが進学や就職で家を出ている場合には、受給資格はなくなります。
不正受給の有無
現況届では、児童扶養手当を不正受給していないかどうかも確認されます。
たとえば、住所や世帯構成に変更があったにもかかわらず、届出をしていないケースがよくあるそうです。
離婚した当初はひとり親家庭だったけれど、その後両親と同居することになったり、パートナーができたりすることがありますよね。
その場合、逐一役所に届け出なければいけません。
それがなされていない場合、不正受給とみなされることがありますので、生活状況が変わったら役所に届け出ると覚えておきましょう!
筆者が抱えていた現況届の不安

それでは、筆者であるわたしが現況届を提出するにあたってわからなかったこと、役所に確認したこと、そして不安だったことなどをまとめてみます。
初めての現況届ということで「この届け出次第で手当てがなくなってしまったら…」と不安に掻き立てられました。
しかし、実際には心配する必要がなかった点も。
同じように、現況届の提出にあたり不安を抱えているママさんたちにとって、少しでも役立つ情報であれば良いなと思います。
なぜ毎月の生活費を書く必要があるの?
現況届に、毎月の収入額と家賃を書く欄がありました。
収入額から家賃を差し引いた額が、おおまかな生活費であるという計算。
正直「なんでこの計算式が必要なんだろう…」と思いました。
仮にここで「大まかな生活費」が20万円を超えていたら手当が減額されるとか、そういう可能性を考えてしまったのです。

たとえば収入が30万円で家賃が10万円だったら、生活費は20万ですよね。
「家賃を除いて20万円あれば、手当なしでも生活できるよね!」って判断されたら詰むんだが…と思っていました
しかし、実際はまったくそのような意図はないそうです。
(そりゃそうだろ…と思う人もいるでしょうが、わたしは不安だったんです!!!😂)
毎月の生活費まで書く必要があるのは、実際の生活レベルを役所に知らせるため。
〇万円以上あったら手当が減るというのは、この用紙で決まるものではないそうです。
収入ー家賃という計算式で算出される金額がマイナスだった場合(つまり、収入が家賃を下回っている場合)、児童扶養手当以外に案内すべき手当があります。

たとえば生活保護とか、就職のあっせんとか…
そのように、児童扶養手当だけではどうにもならない家庭をあぶり出すための書類なのだそうです。
収入欄には「大まかでよい」とも書かれており、なぜ正確に伝えなければいけない金額なのに大まかで良いのだろう…と、細かな点でも疑問が絶えませんでした。
思い切って市役所の担当員さんに伺うことができてよかったです。
なぜ貯金額まで書く必要があるの?
現況届に書く内容の中で「収入や手当、養育費のみで生活するのが厳しい」と申告した場合、貯金額を書く欄が待ち構えていました。

毎月の生活費はまだしも、貯金額まで書くのはなんか抵抗ありませんか…?
こちらも同じように、貯金がある程度あった場合「じゃあ切り崩せるから手当はいらないね!」と判断されてしまうことを恐れていたわたし。
(普通に考えればそんなことはないと思うんですが…)
気になったので、こちらも担当員さんに理由を聞いてみました。
すると、先に解説した「毎月の生活費を書く理由」と同じように、貯金額や切り崩している貯金額を申告することで、いかに生活が危ういかを市役所に知らせることができるからだそう。
貯金は切り崩すことができますが、きっと思っている以上に長くはもたないでしょう。
何十万という額が毎月飛んでいき、あっという間に底をついてしまう可能性があります。
そのため、ひとり親家庭の生活を守るべく、貯金額まで知って正確に案内する制度が整っているそうです。
現況届の内容によって手当が減ることはある?
現況届にはさまざまな提出書類があることがわかりました。
現況届の内容によって手当が減ったり、なくなったりするケースはあります。
それは、先にご紹介している通り以下の状態に該当するご家庭です。
上記のいずれかに該当すれば、児童扶養手当を受給する資格が失われますので、手当がストップします。
もしくは、受給する資格は残っているけれども減額されるという対応もあるでしょう。

例としては、祖父母と同居を始めた場合です。
祖父母と同居することで収入が増え、児童扶養手当が不要となった場合、受給資格が失われます。
しかし、祖父母と同居をしてもなお生活が苦しい場合は、手当がもらえることも!
しかし、わたしが個人的に懸念していたように「毎月の生活費が〇万円以上なので手当は減額」というような決め方はされないそうです。
最終的には所得証明書や確定申告のデータで、手当の金額が決まりますので、現況届には言葉通り「今現在どのような暮らしをしているか」を記すだけでOK!
まとめ|現況届は8月中に忘れず提出を
児童扶養手当を継続的に受け取るためには、毎年8月に行う現況届の提出が欠かせません。
収入や子どもの状況をきちんと報告することで、支給停止やトラブルを防ぐことができます。
期限を過ぎると支給が止まってしまうため、早めに書類を準備し、役所の案内に従って確実に手続きを済ませましょう!
わからないことや、記入方法に不安な点があれば、わたしのように市役所に書類一式を持って行って、説明を受けながら書くこともできます。
お住まいの自治体の、子育て給付課に問い合わせてみてくださいね。
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