知的障害と精神障害の違いは?発症の原因や受けられる支援をまとめ!

スポンサーリンク
知的障害 精神障害 違い 発達障害についての情報まとめ

「知的障害」と「精神障害」は、一見混同されやすい2つです。

しかし、実際には意味や診断基準、サポートの対象が異なるんです。

この記事では、それぞれの特徴や違いをわかりやすく解説し、支援制度や日常生活における配慮のポイントについても紹介します。

知的障害と精神障害の違い

知的障害 精神障害 違い

まず、双方の明確な違いを見ておきましょう。

知的障害=発達期からの知的機能の遅れ

精神障害は=心の病気による生活困難

知的障害は生まれつきの特性、精神障害は後から発症する病気という違いと覚えておきましょう。

知的障害と精神障害はまったく別物ですが、両方を併せ持つケースもあります。

たとえば知的障害がある方がうつ病を発症したり、発達障害の特性により不安障害を併発したりする場合です。

この場合、それぞれに応じた診断・支援が必要となります。

それでは、大きな違いを一覧で見てみましょう。

比較項目知的障害精神障害
定義発達期における知的機能と
適応行動の障害
心や脳の働きに関する
病気・障害
発症時期発達期(18歳まで)子ども〜成人期まで
診断基準IQの目安や適応行動の評価精神科の診断
(DSM-5やICDなど)
改善の可能性知的機能は大きく変わらないが、
生活能力は支援で伸びる
薬や心理的支援により
改善・寛解が期待できる
支援制度療育手帳など精神障害者保健福祉手帳など

知的障害とは?

知的障害とは知的機能の発達に遅れがみられる障害のことで、発達期(おおむね18歳まで)に発症します。

日常生活や社会生活に支援が必要で、IQが70未満であることが一つの目安とされます。

それに加えて、適応行動(生活能力や社会性)に困難があることが診断基準に含まれることも。

学習や仕事、日常生活において自立が難しいことが多く、継続的な支援が必要となります。

精神障害とは?

精神障害は、脳や心の働きに関わる病気によって、生活に支障をきたす状態を指します。

その症状が長期間にわたって続く状態で、以下のものが代表的な症状(病名)です。

  • 統合失調症
  • うつ病
  • 双極性障害
  • 不安障害
  • 発達障害による二次障害

発症の時期は子どもから大人まで幅広く、必ずしも発達期に限られるものではありません。

薬物療法やカウンセリング、リハビリ支援などを組み合わせて改善を目指すのが特徴です。

それぞれどのようなことで困る?

知的障害 精神障害 違い

知的障害は知的な遅れがみられる障害なので、学習や生活スキルが年齢相応に身につきにくいことが中心です。

発達期から持続的に表れるため、特に学齢期に困難を感じる人や家族が多くいるでしょう。

精神障害は心の病気からくるものであり、思春期や成人期に突然発症することもあります。

ただし、両者が重なるケースもあるため、支援においては個別に丁寧な見立てが必要になります。

知的障害の困りごと

知的障害のある子どもや大人は、IQの数値だけではなく、生活全般において困難さが表れることが多くあります。

たとえば言葉の理解や計算に時間がかかったり、文章を読んでも意味を正確に把握できなかったりなど、学業でつまずくことがあります。

また、服の着替えや金銭の管理といった日常生活のスキルにおいても、支援が必要なことも。

社会的なルールや相手の気持ちを理解するのが難しい場合もあり、友人関係や職場で誤解を招くこともあるでしょう。

はち
はち

わが家の場合は学習面でのみ知的レベルが出ていて、コミュニケーションにおいてはそれほど問題視されませんでした。
何に困るかは、個人差がありますね

支援を受けながら生活スキルを伸ばしたり、適した学習環境に身を置いて、それぞれのペースで学んでいくことなどが必要です。

精神障害の困りごと

精神障害の場合、特徴は病気の種類によって異なります。

例として、精神障害に挙げられるものを見てみましょう。

病気の種類主な症状
統合失調症幻覚(特に幻聴)、妄想、
思考のまとまりにくさ、
意欲低下、感情の平板化
気分障害
(うつ病・双極性障害)
抑うつ気分、意欲低下、食欲変化、
集中力の低下、不眠や過眠、
躁状態では多弁・多動・浪費
不安障害
(パニック障害・社交不安障害など)
動悸・息苦しさ・発汗などの発作、
不安や恐怖による回避行動、
人前での極度の緊張
強迫性障害(OCD)繰り返し浮かぶ不合理な考え(強迫観念)、
不安を打ち消すための行為(強迫行為)
発達障害(ASD・ADHDなど)
※精神障害者保健福祉手帳の
対象に含まれる場合あり
ASD:コミュニケーションの困難、こだわり行動
ADHD:不注意、多動性、衝動性
PTSD
(心的外傷後ストレス障害)
フラッシュバック、悪夢、過覚醒、
回避行動、集中困難
摂食障害
(拒食症・過食症)
極端な食事制限や過食、
体重や体型への強いこだわり、
身体機能の低下
アルコール・薬物依存症強い使用欲求、コントロール困難、
生活への悪影響、離脱症状

これらは症状の波が大きいため「昨日はできたのに今日はできない」といった状態もよく起こります。

周囲から「努力不足」と誤解されるケースも少なくないようです。

発達障害も精神障害に含まれるんだね

はち
はち

程度や特性の種類によっては、含まれる場合があります。
知的障害はIQなどで測ることができますが、発達障害や精神障害はグラデーションになっているケースも多くて、境界線がわかりづらいですよね

発症のきっかけとなるもの

知的障害 精神障害 違い

知的障害と精神障害がそれぞれ「発症」するきっかけになるものを見てみましょう。

結論からいうと、知的障害は生まれつきや発達の早期に始まるもので、あるとき突然「発症」するものではありません。

一方、精神障害はその真逆で、あるとき突然「発症」するものです。

そのため、両者には大きな違いがみられます。

知的障害の場合

知的障害は、ある時点で急に始まる病気ではありません。

発達の早期から 知的機能(学習能力、判断力、適応行動)の伸びがゆるやかな状態を指します。

そのため「発症」という言い方ではなく「生まれつきの障害」や「発達の過程で明らかになる」という表現が一般的です。

知的障害と診断される原因が特定できるケースと、そうでないケースがあります。

それぞれどのようなものがあるのか、見てみましょう。

原因が特定できるもの

知的障害の中で原因が特定できるものは、以下です。

  • 遺伝的要因
  • 妊娠中の要因
  • 周産期の要因
  • 小児期の要因

遺伝的要因は、ダウン症(21トリソミー)などに代表される染色体異常・遺伝子変異のことです。

これらは生まれる前から知的発達に影響を及ぼすことが分かっており、知的発達は中度〜軽度の範囲にとどまることが一般的。

妊娠中の要因としては、風疹、サイトメガロウイルス、トキソプラズマなどの感染症にかかることや、妊婦が喫煙・飲酒をすることで、胎児に重い後遺症を残すことがあります。

妊婦さん
妊娠中のママはいっそう体調に気をつけていますよね

周産期の要因とは出産時のトラブルなどを指し、特に 仮死(低酸素状態)に陥ると脳にダメージを与え、知的発達に影響するといわれています。

極低出生体重児や早産児の場合も、未熟な臓器や脳を抱えて生まれるため、合併症から知的障害に至ることがあります。

新生児
出産時のトラブルも知的障害を残す要因の1つに

医療の進歩でリスクは減少しているようですが、このような出産時トラブルによって子どもに障害が残ってしまう可能性は、ゼロではありません。

そして、生まれたあとに脳にダメージを与える病気や事故を経験した場合にも、深刻な影響を残す可能性があります。

たとえば頭部外傷、交通事故や転倒などのケガ、そして脳炎や髄膜炎といった感染症、また高熱やけいれんなどですね。

赤ちゃん
乳幼児期は、眠れないほど赤ちゃんの体調や健康が気になってしまいますよね

これらが知的障害を残す可能性もあるでしょう。

原因不明なもの

医学が進歩しても、実際には知的障害の約半数は明確な原因が特定できないと言われています。

脳の発達過程は複雑で、微細な遺伝的変異や環境因子が複合的に作用している可能性があるそうです。

知的障害は診断が遅れることがある

知的障害には、原因が特定できるものとそうでないものがありますが、ダウン症など出生時に判断しやすいものを除くと、診断が遅れることがよくあります。

特に乳幼児期は、遊び中心の活動が多いため、言語や数の理解、学習面での遅れに気付かないことが多くあるでしょう。

学齢期にいたるまでは発達の個人差も大きく「成長すれば追いつくかもしれない」と考えられる幅が広いですよね。

そのため、多少発達の遅れがあっても個性だと判断されることも多くあります。

はち
はち

わが家が長いことその診断でした

知的障害を診断するツールや検査キットは多岐にわたりますが、障害の程度によっては

子どものその日の体調や集中力によって数値が変動する

ということも頻繁に起こります。

子どもは正式な検査自体に慣れていないこともあり、正確な評価が難しいこともありますよね。

そのため、たまたまこの結果が出てしまったというケースも少なくないのです。

幼児
あくまで子どもを相手にするので、結果の正確性は懐疑的だとか

知的障害は、あるとき突然発症するのではありません。

発達の早期から存在していたものが、学齢期の課題の中で顕在化したことで、診断に至ると考えられています。

幼児期に診断されなかったのは、発達の個人差や環境要因、検査時の状況によって「診断基準を満たさなかった」だけ、というケースが多いのですね。

はち
はち

わが家もずーっと疑惑だけはあって、でもなかなか診断されなくて…結局小3年で知的の診断が出ました。わたしとしては「やっとか…!」という思いでした

精神障害の場合

知的障害と違い精神障害は、環境やストレスがきっかけで後から発症するものです。

遺伝、脳の働き、性格、ストレス、生活環境など、さまざまな要因が複雑に絡み合うことが多いとされています。

統合失調症

統合失調症は、過度なストレス環境で発症に至るケースが多いとされる精神障害です。

遺伝するといわれており、家族に患者がいる場合、発症リスクがやや高まるそう。

また、進学や就職、人間関係など、青年期に経験した強いストレスにより発症するケース、そして脳内のドーパミンが不均衡であることなども、要因になります。

うつ病・双極性障害(気分障害)

うつ病や双極性障害の引き金は、環境的ストレスです。

特に責任感が強かったり、完璧主義だったりすると発症しやすいといわれています。

職場で積み重なった過労や人間関係の不和、育児のストレスで長期的に負担がかかっていると、注意が必要だそう。

また、身近な人を亡くしたり離婚や失業をしたりと、大切なものを喪失する体験からもうつ病を発症することがあります。

さらに身近な要因では、睡眠リズムや生活習慣の乱れなどがきっかけになることもあるでしょう。

不安障害(パニック障害・社交不安障害など)

不安障害は「また同じことが起こるかもしれない」という恐怖が、症状を固定化させてしまう可能性がある精神障害です。

過去のトラウマや失敗体験を思い出したり、転職や引っ越しなど大きな環境の変化があったりすると、同じ体験を二度としたくないという思いから、不安障害を引き起こすことがあります。

また、こちらも自律神経の乱れや甲状腺疾患など、からだの不調が要因になることもあります。

強迫性障害(OCD)

強迫性障害は、幼少期に過剰に厳しく教育されることが原因になることがあります。

たとえば、小さな失敗を強く叱責されたり、責められたりして育つと、不安傾向が強い正確になることがあります。

脳内のセロトニン機能が異常にはたらくようになり「不安を打ち消すための儀式的行動」が習慣化する症状が一般的でしょう。

たとえば、手を洗っても洗っても汚れが落ちた気がせず、何度も繰り返し洗ってしまう。

家を出る際に、電気や戸締りをしたにもかかわらず、何度も家に戻って確認してしまう。

このような行動をいいます。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)

PTSDは、災害、事故、暴力、いじめ、虐待などの強い心的外傷体験がきっかけで発症します。

当時の状況や感情がフラッシュバックし、パニックになったり正常な判断ができなくなったりします。

音や場所、においなどがトリガーとなり、トラウマ体験を思い出すことで、症状が突然出てしまうことも。

トラウマ体験の大きさや個人の回復力によって、症状の重さが変わります。

摂食障害

摂食障害は、体型や体重に関してプレッシャーをかけられることで起こる精神障害です。

完璧主義だったり、自己肯定感や自己評価が低かったりすると「もっと痩せなくては」「もっときれいになりたい」という一心で発症してしまうことがあります。

ストレスや、家庭環境の不安定さがきっかけになることも多いそう。

一般的に、思春期の女の子にみられる精神障害だそうですが、最近は男性、そして成人を迎えた女性にも広がっているそうですよ。

依存症(アルコール・薬物)

依存症は、さまざまな体験や習慣において起こり得る精神障害の1つです。

強いストレスや孤独感を抱くことで発症したり、また特定の快楽体験をすることで脳の報酬系を変化させたりする(※1)ことがあります。

※1…脳の報酬系が変化するとは、その行為を繰り返したくなるように脳の回路が書き換えられることをいいます。

家庭や周囲の環境によっても発症しやすさが変わってくるそうです。

たとえば飲酒の習慣が強い家庭環境や、喫煙者の多い職場などでは、同じものに依存しやすい傾向があります。

参考サイト:PMC

気晴らしで始めたものがやがて脳に依存回路をつくり、制御が難しくなっていくことをいいます。

それぞれが受けられる支援は?

知的障害 精神障害 違い

知的障害と精神障害は性質が異なりますが、どちらにおいても「本人が安心して生活できる環境づくり」が支援の基本です。

家庭・学校・職場・医療機関・福祉サービスが連携してサポートすることで、本人の自立や社会参加がスムーズになることが期待できます。

特に近年はインクルーシブ教育や合理的配慮が重視されています。

障害があることでさまざまな選択肢が制限されるのではなく、環境を整えてできることを広げるという考え方が広まっています。

具体的に、それぞれの違いを見てみましょう。

知的障害の支援や制度

子どもの場合、知的障害があると学校では特別支援学級や通級指導教室を利用しながら、自分のペースで学習できる環境を整えてもらえます。

また、発達段階に応じて生活スキルを身につけるための支援(買い物練習・公共交通機関の使い方など)が行われることもあります。

成人後は就労移行支援や就労継続支援(A型・B型)を活用することで、一般就労や福祉的就労につながることも期待できますよ。

知的障害の診断を受けた場合、療育手帳を取得することができます。

療育手帳によって税の控除、交通機関の割引、公営住宅の優先入居などの支援を受けられます。

はち
はち

わが家でも現在、療育手帳を申請中です。
申請方法や流れなどは、手帳を取得してからまとめて公開しますね

精神障害の支援や制度

精神障害では、症状の波が大きいため「安心して休める環境」と「段階的な社会参加」が重要。

学校では保健室に登校したり、個別の学習計画が取り入れられたりすることがあります。

無理に集団生活を強いるのではなく、本人のペースに合わせる配慮が求められます。

成人の場合は、医師やカウンセラーによる治療やカウンセリングを受けつながら、就労支援サービスを利用できます。

精神障害を患っている場合には精神障害者保健福祉手帳を取得でき、医療費助成を受けることも可能。

職場では勤務時間の短縮、在宅勤務、業務内容の調整などの合理的配慮が行われるケースも増えているんですよ。

まとめ

知的障害と精神障害は、定義や診断基準、支援の内容に明確な違いがあります。

知的障害は、発達期からの知的機能の遅れに焦点を当てます。

それに対し精神障害は、心の病気によって日常生活に困難を抱える状態を指します。

ただし、両方を併せ持つケースもあり、適切な診断と支援が欠かせません。

違いを理解しておくことは、支援制度を正しく活用し、本人や家族が安心して生活を送るために重要なポイントです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました