「うちの子、ほかの子と比べて発達が遅いかも…」
そんな不安を感じたことのある親御さんも、いるのではないでしょうか。
同じ年頃の子ができることがまだできなかったり、言葉がなかなか出なかったり、友達との関係がうまく築けなかったり…
子育てをしていると、日々のちょっとした”違和感”が、いつの間にか心の中で大きな不安になっていくことがあります。
初めての育児であればなおさら。
「これって普通?」「私の関わり方が間違っているのかな」
と、自分を責めてしまうこともあるかもしれません。
この記事では、子どもの発達の個人差とは何か、どんなときに専門機関に相談すべきか、また日々の子育ての中でできる関わり方や考え方について、わが家の体験談とともにお伝えします。
大切なのは「できる・できない」ではなく「その子らしい育ち方」を見守る視点です。
今、不安を抱えている方の心が少しでも軽くなりますように。

発達には個人差があるとわかっていても…

「成長には個人差がある」
「早い・遅いは気にしなくていい」
育児書にそう書いてあったり、保健師さんにそう言われたりすることがあるでしょう。
しかし、いざ自分の子どもが他の子と違う様子を見せると、どうしても不安になるのが親心ですよね。
たとえば、1歳半健診でまだ言葉が出ないことを指摘されたり、保育園でお友達とのトラブルが多いことを相談されたりすると、
「この子は大丈夫なのかな…」
と、心配が押し寄せてくるのも無理はありません。

特にママ友や実の両親の言葉が、妙に引っかかることってありますよね…
しかし、子どもの発達は一律ではありません。
それぞれに得意なこと・苦手なことがあり、今できないことも半年後には自然にできているというケースもあります。
大切なのは「今の姿」だけを見てすべてを判断しないことです。
わが家には発達障害(のちに知的障害も発覚)の息子・まめがいます。
まめを見ていても、現時点の状況だけで判断するのは早すぎると感じることがたくさんあります。
発達に不安のあるお子さんを育てる親御さんには、お子さんや家族の将来を長いスパンで見て、少しでも心に余裕をもって過ごしてほしいなと感じます。
周囲の子と比べてしまう
発達に不安を感じ始めると、つい周囲の子どもと比べてしまうことがあるかもしれません。

「個人差がある」なんて、何百回・何千回と頭の中で唱えています。
それでも気になってしまうものですよね…
お子さんがまだ赤ちゃんや幼児である場合、親御さんの早とちりである可能性もあります。
0歳で歩く子もいれば1歳を過ぎて歩き始める子もいますし、話し出すのも早ければ1歳くらいですが、レイトトーカーの場合3歳まで話さない子もいます。
それでも、小学生くらいになると発達の遅れが目立たなくなったり「赤ちゃんのときは発達がゆっくりだったけど、いつの間にか追いついていた」というケースもよくあるからです。
しかし幼稚園や保育園、また学齢期になって「発達が遅れている…?」と気になり始めた場合、個人的には親御さんの勘は当たることが多いと思います。

なぜって、それだけわたしたちは毎日子どもを見ているから…!
幼稚園や保育園に行き始めてから発達が気になるというケースは、多くが「周囲の子を見て自分の子の発達が遅れているように感じる」ということがきっかけになりますよね。
その時点で、周囲の子より発達が遅いと気づくほど何か目立つものがあるのでしたら、専門機関に相談してみることを検討し始めるタイミングかもしれません。
赤ちゃんのときは比較対象がなく、ネットで見る情報に振り回されてしまう子もいるでしょう。
しかし、集団生活が始まった段階で「まわりの子よりできてない…」と感じたら、それは発達遅延や発達障害のサインになる可能性が、じゅうぶんに考えられると思います。
個人的には、周囲の子と比べることにもメリットはあると感じました。
それは「何かおかしいぞ」と気づくきっかけになったからです。
もしわたしが何も気にしないタイプの母親だったら…
違和感を感じないまま「子どもってこういうものだよね」とスルーして、適切な支援につなげられなかったかもしれません。
周囲と比べて落ち込んだこともありましたが「あれ?うちの子やっぱり遅れているかも」と気づくきっかけがたくさんあったので、結果的には良かったと思っています。

先のことを気にしすぎず「結果オーライ」ぐらいの気楽な気持ちで☆
ママ友付き合いがなくなる
わたしは、まめの発達が気になれば気になるほどママ友付き合いがなくなっていったのも、印象深い子育ての思い出です。
お友達と比較して自分がつらくなる、という理由ではなく
という気持ちが始まりでした。
周囲の子と比べて落ち込む時期は、わりと早く過ぎ去ったように感じます。
しかし、そのあとにやってきたのは「実際に他人に迷惑をかけてしまう葛藤の時期」でした。
まめは幼児期からASDの傾向があったので、そもそもお友達に興味を示さない子でした。
そのため、ママ友と約束して一緒に遊んでも、まめだけお友達とは遊ばず1人で過ごしていたり、コミュニケーションをとらなかったりしました。
ママ友が「ほら、まめ君も仲間に入れてあげて」と気を遣ってくれるものの、まめ自身はあまり興味がなく…
そんな輪にいること自体に、わたしも疲れてきてしまった。
というのが正直なところかもしれません。

本当にこればかりは、誰が悪いわけでもなく「いるべき場所が違った」
ただそれだけのことだったのかも…
結果的に、ママ友付き合いがなくなっても特に生活に支障はなかったので(笑)こちらも結果オーライで、今となっては良い思い出なんですけどね。
余談ですが、まめの妹・ナツに関しては発達障害の診断などはなく、定型発達をしています。
ナツは幼稚園の頃から

○○ちゃんと幼稚園のあと遊びたい!
などと積極的に言ってくる子だったので、自然とナツの仲良しさんのママ友ができたり、ご飯を食べに行ったりしました。
子ども同士が仲良しだったことで親も話が弾み、ナツのママ友関係で悩むことはあまりありませんでした。
子どもの性格によってママ友関係が180度変わるというのを、身をもって体験しました。
交友関係が怖くなる
子どもの発達が気になり始め、周囲の子どもと比較してしまったり、発達特性によってお友達に迷惑をかけてしまったりすると、親御さんが子どもの交友関係に敏感になってしまうことがあります。
お友達と仲良くしてほしい気持ちはあるけれど、
「不快な思いをさせてしまうのではないか」
「できないことが目立って、自信をなくしてしまうのではないか」
「発達特性によって、いじめにつながるのではないか」
そんな心配事が頭の中を駆け巡り、幼稚園や保育園、学校生活を見守ることもストレスになってしまうこともあるでしょう。

わが家は小学校も4年目なので慣れましたが、それでもクラス替えや新しいクラブに属したりするときは、まだ緊張します(わたしがね)
親御さんがずっとついていてあげられれば良いけれど、子どもはいつか親離れをするために、少しずつ親のいない世界で生きることに慣れなければいけません。
そう、親がいつまでも干渉したり、友達関係にあれこれ首を突っ込んだりしても、良いことはないのです。
以前、まめの担任の先生と校長先生からこのような言葉をかけられました。

お母さんがトラブルを未然に防ぎたい気持ちは分かります。
でも、学校はトラブルを起こして学ぶ場所です。
それを未然に防いでいては、子どもが成長しません。
学校を信じて、お任せいただけますか。
これは、いろいろと心配しすぎていたわたしの目を覚ましてくれる言葉でもありました。
学校の交友関係は心配だけれど、学校を信じて先生方に託して良いんだ。
そう思えたことで、肩の荷が下りた記憶があります。
発達に心配があると、自然と学習や交友関係にも心配ごとが及び、親御さんは気の休まる時間がなくなるかもしれません。
それでも、学校や療育など信頼できる先生や専門機関を増やし、1人で抱え込まないようにしてくださいね。
気になることがあればすぐ相談を

子どもの発達に不安があっても「相談するのはまだ早いかもしれない」とためらってしまいがち。
しかし、相談は”診断”ではありません。
専門機関に相談することで「この子の特徴はこういう傾向がありますよ」という具体的なアドバイスが得られます。
それだけで気持ちが楽になることもあれば、適切な支援先が見つかり良い方向に進むこともあります。
相談先は、たとえば以下のような専門機関があります。

相談できる場所ってこんなにあるんだ!

幼稚園や学校の先生は「発達障害」に関しては専門外ですが、専門機関につなげてくれたり紹介してくれたりするので、まずは聞いてみるといいかも
親御さんは、子どものことを一番理解しているかもしれませんが、児童発達のプロではありません。
そんな親御さんだけで不安を抱えていても、必要以上に心配になったり、誤った対応をしてしまったりすることも。
「ちょっと気になる」程度の段階で相談することは、決して無駄ではありません。

むしろ「ちょっと」でも気になるなら、すぐに専門家の意見を聞いた方が良いと思います!
発達に不安のある子へのかかわり方とは

発達の遅れや偏りが見られる場合、親御さんは「普通」に合わせようとすることがあるかもしれません。
しかし、その子の得意なことや好きなことを起点に関わることが、より大切なことだとされています。
たとえば言葉が出ない子でも、音楽やリズムが好きなら手遊び歌からコミュニケーションを広げていけるかもしれません。
数字が好きな子であれば、カレンダーや時計を使って学びの機会を増やすことができるかもしれませんね。
また、ルールや感情の理解が苦手な子もいるでしょう。
その場合、目で見てすぐにわかる視覚的なサポート(おしたくボードや予定表など)を取り入れると混乱が減るかもしれません。
親も子も穏やかに過ごせる時間が増えるように、その子にとって心地よいやり方を模索していくことがカギになります。

子どもに合わせたやり方を優先することが「甘やかし」だと思う意見もわかります。
でも、発達に凸凹のある子どもにいくら厳しくしても、お互いにつらいだけでなかなか前進しないものなんですよね…
大人側が「こうしなければ」と思いすぎると、子どもも無理をして、結果的に関係がぎくしゃくしてしまうことがあります。
子どもの「やりやすさ」を一緒に探す気持ちで、接してみましょう。
子育てのストレスを減らす第一歩になったり、うまくいったやり方を幼稚園や学校の先生に共有して、集団生活でも有効な方法を増やしたりできるかもしれません。
子どもに厳しくするより、子どもに合ったやり方を見つける努力をする方が、総合的にうまくいく確率が上がります!
親が自分を責めないために

発達に関する不安があるとき苦しくなるのは、子ども自身よりも「親の心」かもしれません。
「私の育て方が悪かったのではないか」
「もっと早く気づいていれば…」
という、自責の念にかられることもあるでしょう。
しかし、発達の特性は親のせいではなく、ましてや子どものせいでもありません。

当事者であるわたしもそう思いますし、たくさんの専門家の方からそう言われてきました
誰も悪くないのに、心の中で誰かのせいにしてしまうほど追い詰められてしまうのが、発達に悩む子育ての難しさですよね。
だからこそ、親自身が心を守ることがとても大切。
ひとりで抱え込まず、話を聞いてもらえる人や、気持ちを出せる場を見つけることも1つの支えになるでしょう。
子どもが安心して育つためには、親自身が「安心できる自分」でいることが何よりの土台になります。
まとめ
子どもの発達は一人ひとり違い、決まった正解はありません。
周囲と比べて落ち込むことがあっても、その子なりのペースで育っていることを信じてあげることが、親にできる最大のサポートです。
気になることがあれば早めに相談してみる、子どもの得意なことから関わってみるなど、子どもに合ったやり方を日々少しずつ、探してみましょう。
そして何より、親自身が自分を責めすぎずに「自分はよくやっている」と認めてあげること。
子育てはマラソンのように長く、迷いの連続です。
でも、その中で一歩一歩進むわたしたち親の姿を、子どもはきっと見ています。
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