発達障害のある子どもを育てる毎日は、情報収集・通院・学校対応…とやることが尽きません。
それなのに「頼れる人がいない」「誰にも相談できない」と感じたことはありませんか?
わたし自身、シングルマザーで実家が遠方ということもあり、1人で抱え込むことがあります。
この記事では、「周囲に頼れない発達障害児育児」を経験したわたしの体験と、小さな助けを見つける工夫をお伝えします。
今、同じように悩んでいる方が少しでも「一人じゃない」と感じられますように。

誰にも頼れない発達障害児育児の現実

発達障害のある子どもを育てていると
「誰かに頼りたい」
「少しだけでいいから助けてほしい」
と感じることが何度もあると思います。
けれど、実際には“頼れる人がいない”という現実…
わたしが発達障害児を育てる中で感じたつらさや現実は、以下のようなものでした。
周囲に理解されないつらさ
発達障害児を育てていると、家族や友人など身近な人から理解を得られないことがあります。
「発達障害」という言葉自体、発達障害者支援法が施行された2005年前後から広まったもので、まだそれほど定着していません。
そのため、発達障害という言葉を使っても「言い訳」だと思われることも多くあります。
「甘やかしてるだけ」
「うちの子も手がかかった」
「子どもはそんなもんだ」
発達障害という言葉がまだ身近でない人には、正直何を言っても響かないですよね。
そんな無力感を感じ、自然と誰にも頼れない…いや、頼らなくなっていきました。
ママ友との会話に入りづらい
発達障害児を育てていると、発達障害児ではない子どもを育てるママ友との会話に入りづらいことがあります。
周りの子どもと比べられるのがつらくて自然と距離を取ってしまったり、発達障害児とそうでない子どもを育てる親御さんでは、悩みの種が根本的に違ったりするからです。

まめが発達特性によって周囲に迷惑をかけているんじゃないか…
という不安が常につきまとい、周囲のママさんに気軽に話しかけられませんでした
発達障害の特性が原因で友達とうまく関係を築けなかったり、園や学校で「変わった子」だと思われたりすることで、周囲から距離を置かれることも少なくありません。
実際にトラブルが起こっていなくても「うちの子、ちょっと違うかも」と思った瞬間から、孤立感が強くなるママも多いでしょう。
発達障害児に対する差別が横行しているわけではありませんが、実際にそういう人がいたりすると、もう何も信じられなくなってしまいますよね。

わが家は、まめに発達障害があるという理由で、卒園式で先生に花束を渡すという役目をはく奪されたことがありました。
練習ではしっかり渡せていたのに「本番何かあるといけないから」という理由で外され、やり場のない怒りがこみ上げてきました
このように、発達障害児を育てることでママ友と距離が生まれたり、確執が生まれたりすることがあります。
もちろんお友達に恵まれればそれに越したことはありませんが、幼稚園や学校なんて近所の人が寄せ集められただけの環境なので(笑)運なんですよね。
わが家はのびのび遊ぶ系の幼稚園だったので、周囲のママさんたちともある程度の育児方針や価値観が合うのを感じました。
しかし、やはり発達障害児がいるとなると、距離を置きたくなる人や警戒する人もいます。

発達障害によっては他害なども考えられるので、警戒する気持ちはわからなくないのですが…
発達障害児を育てる場合には、そもそもママ友との関係性についても意識を変えるほうが良いと思います。

わたしは発達障害児育児を機に、ママ友と群れたりグループを作ったりする文化から抜け出すことができました。
それは本当に正解だったと思っています
育児も通院も学校対応もワンオペ
発達障害児は、通常の通園や通学以外にも、さまざまな用事が付随します。
発達外来や検査などの通院が必要だったり、療育に通ったり、発達特性によっては児童精神科や内分泌外来に通うこともあるでしょう。
発達障害によってさまざまな場面で専門機関を利用する機会があるので、ずっと動き回っている親御さんも多いと思います。
さらには、幼稚園や学校で問題を起こしたときには対応に追われたり、そのことに関し本人と話し合う時間も作らなければなりません。
きょうだいがいれば、きょうだいの育児もありますから、身体が1つでは足りないでしょう。

わが家は発達障害児×シングルマザーなので、本当にわたしの体力だけでどうにかなっていたような…綱渡り状態でした
毎日の育児に加えて、子どもに必要な支援の調整を一人で担うことは、想像以上に負担が大きいものです。
頼れないことで感じる心の負担

周囲に頼れないことが当たり前になると、心の中にはさまざまなプレッシャーや疲れが溜まっていきます。
わたしはそれによって心療内科に通うことになってしまいました。
これを読んでくださっているみなさんは、同じ思いや経験をしないよう「まずい」と思ったらヘルプを求めたり全部放り投げて休んだりと、自己防衛をしてほしいです。
すべてがワンオペという重圧と責任感
発達障害児育児は「私がやらないと誰もやってくれない」と思い込むことが多いと思います。

思い込むというか、本当にそうなんだけどね…
そして、ますます自分を追い込んでしまうこともあるでしょう。
確かに、ほかに頼れる人もおらず、周囲からの理解も得られず、八方塞がりになってしまうことがあるかもしれません。
しかし、自分で自分を1人ぼっちにしてしまうことのないよう、視野を広げることが大切です。
限界でも助けを求められない
発達障害児を育てていると、そうでない子どもを育てるのとは土俵の違う疲れや悩みを抱えることがあります。
もちろん、障害の有無に関係なくそれぞれに育児の悩みはあります。
しかし、発達障害児の育児は、そうでない育児と比べてさらに「予測できない」「想像を超える」ハプニングや悩みに見舞われることも。
そして、疲れていても「迷惑をかけたくない」「どうせ分かってもらえない」と感じて、声を上げることができない人もいるでしょう。

わたしも、家族や友人には発達障害の悩みを話しませんでした。理解してもらえないことが多かったので「もう話すのやめよう…」と心を閉ざしてしまっていたかも。
でも、そのかわり専門機関を頼るようにしました!
周囲で、発達障害に関して理解を示してくれる人がいないのであれば、それを仕事にしている専門機関を頼るのが個人的に最善策でした。
発達障害児を育てる家庭向けにはさまざまな支援制度があるので、自治体の窓口で確認し、活用していきましょう!
次から次へとやって来る問題
発達障害児にはそれぞれ特性があり、年齢や時期によって出現の仕方が違うことがあります。
わが家の場合、幼児期にはASD(自閉スペクトラム症)の傾向が強かったのですが、小学校に入学してからはADHDの特性が出現し始めました。
幼稚園児の頃はお友達にあまり興味を示さなかったのが、突然「友達と遊びたい!!」という願望が強くなり、トラブルを起こすことが増えました。

それまではまったく悩みの種ではなかったことが、突然目の前に立ちはだかる…
いくら親といってもストレスがかかりますよね
実際、発達障害児・まめとそうでない子ども・ナツがいるわたしからしても、発達障害児に関する悩みはまさにジェットコースターのようです。
また発達特性によって、周囲のお友達とはまったく違う行動を起こして、トラブルに発展することもあります。
そのため、まめが小4になった今でも毎日ヒヤヒヤしている…というのが正直な気持ちです。
「頼れないつらさ」と気づき

それでは、わたし自身が発達障害児を育てるにあたって「誰にも頼れない」と感じた経験、そしてそこからどう向き合ったかを振り返ってみたいと思います。
支援を仕事にしている人を頼る
わたしは、シングルマザーで実家も遠方ということで、24時間365日ワンオペ状態でした。
育児だけでなく生計も立てなければいけないので、本当に自分1人では体が足りないほど。
しかし、発達障害児を育てる中で徐々にママ友との関係も薄くなっていき、頼ったり相談したりもしなくなっていきました。
そうしてどんどん孤独に陥り…
となってしまうと、本末転倒です。
そこで、家族や友人ではなく「支援を仕事にしている人」を正式に頼ることにしました。
家族や友人に頼るとなると、そこに金銭や法律、専門知識が発生しないので、気軽ではありますが正確性や信ぴょう性も低くなりますよね。
それなら、支援を仕事にしている人(支援サービス、療育、学校、病院など)を正式に頼ることで、心の負担が軽くなりました。

簡潔にいうと、家族や友達には遠慮したり気にしすぎてしまうことも、正式な支援制度を頼ることで罪悪感なく「助けてください!」と言えるようになりました
発達障害児を育てるご家庭では、ぜひお住まいの自治体にどのような支援制度があるのか調べてみてください。
「家族に理解してほしい」
「友達に相談したい」
このように考えているだけで、もし自治体の制度を活用できていなかったら、とてももったいないです!
発達障害児やその保護者向けの支援は充実していますので、療育や発達検査を受けたい場合、学習面でのフォローをしてほしい場合にも、使えるサービスがたくさんあります。
家族や友達に頼ったり理解を求めたりすることで神経を使うなら、発達障害児支援を正式に提供しているサービスに堂々と頼りましょう!

身近な人に頼ると気を遣いすぎてしまう…という人には特におすすめです
優先順位を見直す
発達障害児は周囲に頼れず孤独を感じたり、自分を追い込んだりしてしまいがち。
そのような状況の中、がむしゃらに頑張り続けたり「まだできる」と身体を酷使したりすることは危険です。

わたしもそれで自律神経失調症の診断を受けるまで悪化してしまったので、絶対におすすめしません
そんなときは、一度生活パターンや生活リズム、今やっている習いごとやタスクをすべて洗い出して、優先順位を見直してみましょう。
たとえば、今までがこのような状態だったとします。
- 学校
- 塾
- スイミング
- 放デイ
- 発達外来への通院
- 弟のクラブ活動
この状態で親御さんが限界を感じるのであれば、以下のように修正することを検討してみる…という感じです。
- 学校
- 塾→曜日を減らす
- スイミング
- 放デイ→送迎サービスのある曜日にする
- 発達外来への通院→回数を減らす
- 弟のクラブ活動→時間をずらす
全部を100%でやらなくても、スケジュールを調整したり、今必要でないものからはいったん離れたりすることもできます。

書き出してみると、意外に「これ辞めてもいいかもな…」と思えるものが出てきたりします
「もう少し楽になれるように調整できるかも」と思えるだけで、心の負担が軽くなることもありますよ。
もちろん、実家の家族やパートナーなど頼れる人がいる場合には、送迎のうち「お迎えだけ」とか、きょうだいのクラブ活動のほうだけ、など部分的にお願いしてみても良いでしょう。
手を抜けるところから抜く
発達障害児の育児では「手を抜く」「適当にやる」というのが通用しないことが多々あります。
たとえば「子どもは勝手に大きくなるから干渉しすぎないようにする」という考えに関しては、発達障害児に適用させるわけにはいきませんよね。

一瞬たりとも目が離せないのも、発達障害児育児の難関…
そんなときは、手を抜いて良いところから順に抜いていくと、少しずつバランスが取れていきます。
わが家の場合、まず「ここで手を抜こう」と思ったのが、ご飯です。
自炊や手作りを意識してはいましたが、まずここからハードルを下げることにしました。
わが家の食生活は、以下のような感じです。

このラインナップを見るだけで、ママが抱えてる事情や葛藤が手に取るようにわかる…

発達障害児×シングルマザーなので、そりゃご飯を作るのは毎日めんどうだし、子どもの機嫌が悪いとこっちまでイライラすることもあります!笑
ミールキットは、買う場所によって1袋1,000円近くすることもあるので割高だと思われがちなんですが、個人的に生協のミールキットがおすすめです。
量はそこまで多くないけれど、安いと1袋398円くらい。

足りなければ、わが家は冷凍ブロッコリーやもやし、お肉なんかを適当に足してかさ増ししています。
わが家はもともと子どもに好き嫌いがあって、料理をしても捨ててばかりだった時期があり、それから料理が楽しくなくなってしまったわたし。
さらにシングルマザーになったことで、料理に時間をかけるよりも仕事をしなくてはいけないことが増え、いかにご飯の準備時間を短縮するかが肝でした。
そのため、節約からは程遠くなってしまうんですが、外食(サイゼ中心)やUberを活用してめちゃくちゃ楽してます!

毎日毎日Uberしてるわけじゃないし、自分の身体が壊れたら本末転倒だから…と自分の選択を正当化する日々(笑)
わが家ではご飯で手を抜いていますが、それぞれのご家庭で「ここはもう適当で行こう!」と思った部分は、どれだけ楽できるかを考えてプランを立ててみてください。
頼ることは甘えじゃない

発達障害児を育てるにあたって、誰かや何かに頼ることは決して甘えではありません。
「迷惑をかけたくない」「頑張らなきゃ」
そう思い続けてきたわたしだからこそ、もし同じ悩みをもつ親御さんがいたら、声を大にして伝えたいことがあります。
それは、今あなたが頑張らなきゃいけないことは、実はそれほど頑張らなくても良いことかもしれないということです。
全部自分でやろうとしたり、何も犠牲にせず完璧にこなそうとしているかもしれませんが、意外とマストではないことが出てきます。
本当にやらなくてはいけないこと(子どもの健康や人権を守ること)は、支援センターや行政に頼ってみると助け舟を出してもらえることがあります。
あなたが知らなかった支援サービスや、助成金の存在を知るきっかけになるかもしれません。

誰かに相談することで、必ず「情報」が手に入ります
本当にやらなくてはいけないこと以外は、洗い出して優先順位をつける癖をつけてみてください。
一度ではなく、1ヶ月に1回でも半年に1回でも、定期的に行ってみてください。
あれ?これ当たり前のように続けてたけど、もうそこまで優先度高くないかも?
というものがきっと出てくるでしょう。
不要なものを排除し、労力や時間を余らせ、自分をいたわる予定も組んでみてくださいね。
発達障害児育児は頼りどころが少なく、孤独になりがち。
わたしのようにシングルマザーで実家も遠方となれば、なおさらでしょう。
正直、頼れない環境で「誰か頼れる友達を作ろう」とか「遠方でも実家に頼み込んでみよう」などという非現実的なアドバイスは役に立ちません。
頼れる友人がいなければいないし、実家がなければないんです。
「ない」ものを「ある」状態にするのは大変なことです。
それなら「ない」状態で少しでも負担を軽くする方法が一番手っ取り早く、効率も良いでしょう。
まとめ|「頼れない育児」でもひとりじゃない
周囲に頼れず、孤独を抱えながらの発達障害児育児は本当に大変ですよね。
でも、誰かに頼ることは「甘え」ではなく「前向きな選択」なんです。
それが「誰か」ではなく制度や法律だとしても、使えるものは使っていきましょう。
あなたが頑張っていることは、ちゃんと誰かが見ています!
あなたの歩みを止めないように、小さな“頼れる何か”が見つかりますように。
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