この記事では、わが家で受けたPARS-TRという発達検査について解説します。
所要時間や聞かれる内容、分かること、そして検査後の進路などをまとめていますので、これからPARS-TRを受ける人は参考にしてみてくださいね。

PARS-TRとはどんな検査?

PARS-TRとは、自閉スペクトラム症かどうかを診断するために使われる発達検査ツールです。
特徴は、子ども本人ではなく日常的に保育をしている保護者への聞き取り形式であることです。
そのため、PARS-TRを受ける際に子どもが同席する必要はなく、保護者と検査官の2名で行われます。
PARS-TRでわかることは?
PARS-TRを受けて分かることは、自閉スペクトラム症の傾向があるかどうかです。
PARS-TRは「二次スクリーニング検査」と呼ばれ、すでに発達障害の疑いがある人を対象に行われます。

発達に不安があって、初めて相談に行った人がサクッと受けるような検査ではないんだね!
PARS-TRの結果は、以下の2種類で通達されることが多いようです。
- 自閉スペクトラム症が強く示唆される
- 自閉スペクトラム症の可能性は低い
この結果をもとに支援計画を立てたり、今後の進学先についてアドバイスをもらったりすることができます。
PARS-TRの信頼性は?
PARS-TRは、厳密にいうと自閉スペクトラム症の「傾向があるかどうか」を確認するためのもので、100%の結果は期待できないそうです。
PARS-TRで100%自閉スペクトラム症であるということが分からなくても、PARS-TRを受けることで以下のことが明らかになります。

わが家は診断名よりも、上記のように支援内容や困りごとを共有したかったので、これが明らかになる検査を受けられて良かったです!
わが家のまめが行った発達検査は、わたしが参加したPARS-TRと、まめ本人が受けたWISCという発達検査でした。
今回はその2つの検査結果をもとに、先生が診断をされたという経緯です。
WISC検査では明確にIQなどの数値が出ますが、PARS-TRはあくまで診断の補助として使うものだそうです。

子ども本人は同席もせず親への聞き取りのみだから、正確性は低いのかもね
しかし、かなり込み入った質問をされるので、幼児期の子どもの様子を事細かに聞き取る大切な検査だと感じました。
そのため、子どもとずっと一緒に過ごしていた保護者でなければわからないような内容もありました。
PARS-TRで聞かれたことまとめ

ここからは、わたしがPARS-TRを受けた際に聞かれたことをまとめてみたいと思います。
まめは3歳から幼稚園に行っていて、それまでは自宅保育だったので、幼児期の様子をはっきりと思い出すことができました。
まだまめが小3だったこともあり、幼児期はそれほど昔のことではなかったのも、思い出しやすい理由だったと思います。

幼児期の記憶が薄れていくと、PARS-TRの難易度がどんどん上がっていくということですね…
こだわりについて
PARS-TRは自閉スペクトラム症の傾向があるかどうかをチェックする検査ということで、自閉スペクトラム症の特性でもある「こだわり」についての質問が多くありました。
以下のようなものです。
こだわりに関して、まめに該当するものは多くありませんでした。
幼児期のまめにはASDの兆候があり、わたしとしてはかなり強めに特性が出ていたように思いました。
でも、PARS-TRを受けてみると意外に「ASDの特性であるこだわり要素は、まめにはなかったのかも」と振り返ることができました。
上記の質問の中では「感触遊びが好きだった(今も好き)」「マークや数字にハマった時期がある」という部分のみ合致。
しかし、先生は「それが好きだということではなく、没頭するほどこだわっていたかどうか」を重要視しているようでした。

要は「おしまいだよ」というと泣きわめいたりするほど”執着”していたかどうか、が「没頭する」という判断基準のようです
その観点から考えると、まめはそこまで”没頭”していたわけではなかったので、こだわりの面では意外と当てはまるポイントが少なかったです。
友人関係について
自閉スペクトラム症はコミュニケーションにも課題を抱える可能性のある発達障害なので、友人関係についての質問もありました。
以下のようなものです。
友人関係に関しては、やはりASDらしい特性がみられました。
特にまめは1人遊びを好む傾向にあったため、お友達との関係性を築くのが苦手で、コミュニケーション力に課題がありました。
ただ、ポイントはPARS-TRが「幼児期の頃の様子」と「今現在の様子」について聞かれるという点です。
まめの場合、幼児期の様子では当てはまるものが多くありましたが、今現在の様子ではほとんど該当しませんでした。

まめは小学生になってからADHDの傾向が強くなってきたので、ASDの特性が引っ込んだ可能性があります
気質について
自閉スペクトラム症は独特の気質をもつ発達障害のため、以下のような質問がありました。
気質については、当てはまる部分とそうでない部分が半々くらいでした。
ASDの特徴的な気質としては「目が合わない」「名前を呼んでも振り向かない」という特性があります。
しかしそれはまめに当てはまらず、ただ社会性が著しく低かっただけのように思いました。

実際にPARS-TRを受けてみると「幼児期にASDの傾向が本当にあったのかな…?」と疑わしくなるほど、想像以上に該当項目が少なかったです
しかし、他人の気持ちを察したり見通しを立てたりするのはとても苦手なので、やはり「傾向」はあるのだろうなと、PARS-TRを受けながら感じていました。
言動について
自閉スペクトラム症はコミュニケーション方法が独特なため、以下のように言動に関する質問がありました。
まめは言葉が遅く、人と会話をするのが苦手な子だったので、言動については当てはまる項目が多かったです。
ただ「同じことを何度も質問してくる」「特定の動きを繰り返す」という、ASD特有の行動はありませんでした。

単に内向的な子と、コミュニケーション方法を獲得していない子と、ASDの子…判別が難しいですね
PARS-TRの幼児期ピーク得点とは?

PARS-TRにおける「幼児期ピーク得点」とは、
症状がもっとも現れていた幼児期の得点
を指します。
PARS-TRの評価は「幼児期」「児童期」「思春期・成人期」の3段階に分かれています。
症状がピークであった幼児期と現在を比較して考える際に、幼児期ピーク得点という部分を参考にします。
たとえば、幼児期ピーク得点よりも現在のほうが自閉スペクトラム症の傾向が弱くなっている場合には「保護者の関わりや療育による適切な支援ができている」ということになるそうです。

あくまで参考なので、得点が上がっているからといって「適切なかかわりができていない」ということではないと思います!
PARS-TRを受けた後の進路について

PARS-TRを受けて「自閉スペクトラム症が強く示唆される」という結果が出た場合の、進路について見てみましょう。
わが家のまめがPARS-TRを受けたのは、小3の終わり。
このときすでに公立小学校の通常学級に通っていたため、そこから大幅に進路を変更するつもりはありませんでした。
PARS-TRをはじめ、発達検査を改めて受けようと思ったのは、知的障害があるかどうかを診ていただきたかったからです。
そのため、PARS-TRの結果はわが家の進路には直接影響はしませんでした。
一般的に、PARS-TRで「自閉スペクトラム症が強く示唆される」という結果が出た場合、以下の進路が考えられるそうです。
それぞれ以下のような特徴があります。
進路の種類 | 特徴 | 障害の程度 |
通常学級 | 小学校の通常学級(30~40名) の中で生活する 加配がつかない、 目が行き届かない可能性あり | 軽度 |
支援学級 | 障害の種別ごとの少人数クラス 支援学級のない学校もある 通常学級のお友達と交流時間がある | 軽度~中度 |
通級 | 学習面の一部で 特別な指導を必要とする場合 通級が設置されている学校や施設に 決まった時間や曜日に移動する | 軽度~中度 |
特別支援学校 | 障害の程度が重度な子どもに対し 専門性の高い教育を実施する | 重度 |
PARS-TRの結果、およびほかの発達検査の結果で診断名がつくと、上記の進路の中から子どもに合ったものを選ぶことができます。
支援学級と通級は少人数クラスで、支援が手厚いという部分が似ています。
しかし、基本的に通級は「ほかの学校から特定の時間のみ通うことが可能」であり、支援学級は「その学校に在籍している必要がある」という違いがあります。

支援級を希望するときには、支援級のある学校に行かなくちゃいけないんだって
わが家では通級を検討したことがありましたが、週に1回1コマだけ、自転車で15分くらい先にある小学校に移動しなければなりませんでした。
たった50分のために往復30分かけて送迎をしなければいけないとなると、通級で支援を受けるメリットよりもデメリットのほうが大きいように感じたんです。
まめは集団指示が通りにくい子でしたが、個別指導や家庭でのフォローがあれば授業内容を理解できていました。
そのため、わざわざ労力と時間をかけて週1回1コマの通級を受けに行くよりも、毎日家庭でフォローすれば何とかなるのではないかと考えました。
その結果、まめは通級には通わず、通常学級で学び続けることになりました。

その子に合った学級に入ることが一番だし、結局どの学級にもメリット・デメリットはありますよね
まとめ
PARS-TRで聞かれることや、幼児期ピーク得点という見方について解説しました。
PARS-TRを受けることになった読者のみなさんは、きっとすでに発達障害の傾向があると専門機関で判定されているのではないでしょうか。
発達障害の一種である自閉スペクトラム症の傾向があるかどうかを診断するための、PARS-TR。
PARS-TRは親御さんへの聞き取り調査のため、親御さんの記憶力や観察力によって結果が変わるというリスクがあります。
しかし、幼児期の様子について細かく知ることは、発達検査において大切な要素なのだそうです。
長時間に及ぶため、親御さんも神経や頭を使う検査になると思いますが、子どもにとって適切な進路や関わり方につながるよう、頑張ってきてください!



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