「特別扱いはできません」と言われた経験はありませんか?
診断書がないことが理由で特別な配慮を断られたり、通級や支援学級をすすめられたりするだけで、必要な支援を受けられないこともあるでしょう。
学校の事情も理解はしているけれど、発達障害児を持つ親からすると心が痛む状況ですよね。
集中力が続かず授業中に席を立ってしまう、音に敏感でパニックを起こしてしまう、板書を写すのに時間がかかりすぎる…
こういった「困りごと」は、学校や周囲からすると本人の努力不足や性格の問題だと思われることも、実はよくあります。
先生に相談しても「みんな頑張っているから」「もう少し頑張ってもらえると…」などと言われ、具体的な対応をしてもらえないという話も、よく聞きます。
そんな経験をされた保護者の方に、ぜひ知っていただきたいことがあります。
実は、学校が発達障害や発達特性のある子どもに対して合理的配慮を提供することは、法律で定められた義務なのです。
わが子だけ特別対応をしてもらえるよう頭を下げてお願いするものではなく、子どもが持つ「正当な権利」なんですね。
学校側の義務なので、もちろん丁寧に依頼する必要はあるものの、そこまで引け目を感じる必要はないのだということを、ぜひ知っておいてください。

合理的配慮は「子どもの権利」

まず、合理的配慮という定義についておさらいしてみましょう。
「合理的配慮」とは
障害のある人が、障害のない人と平等に教育を受けられるよう、一人ひとりの特性や困りごとに応じて行われる調整や変更。法律で定められた義務であり、学校側の善意やサービスではありません。
合理的配慮というのは、主に障害のある生徒を対象におこなわれるものです。
障害者差別解消法、障害者基本法などに基づいて設置されました。
合理的配慮は「特別扱い」ではなく、スタートラインを同じにするための調整と考えるとわかりやすいですね。
参考:政府広報オンライン
障害者差別解消法で義務化されている
障害者差別解解消法は、2016年に施行されました。
そして2024年4月の改正により、すべての事業者や学校に対して、合理的配慮の提供を義務化しました。
それ以前は、合理的配慮がなかったので、学校などでは「努力しなければいけない」「特別扱いはできない」とされていたそうです。

ぼくは2016年生まれだから、ちょうど法律ができたときに生まれたんだね

法改正が2024年ということで、合理的配慮をお願いしやすくなったのはつい最近。
どんどん、発達障害児にとって生きやすい教育現場に近づいているかも
現在は公立・私立を問わず、すべての学校が合理的配慮を提供する法的義務を負っています。
つまり保護者が「こんなことをお願いして申し訳ないのですが…」と、遠慮しながら頼むものではないんです。
子どもの教育を受ける権利を守るために、求めることができるものなのですね!

お願いするときにはもちろん低姿勢にはなるけれど、少なくとも「こんなことお願いしたらモンペだと思われるかな?」という不安は払しょくできるかも
法律の条文では、以下のように記されています。
障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない
参考:内閣府
つまり、保護者や子ども本人が配慮を求めた場合、学校は過重な負担でない限り、それに応える義務があるのですね。

学校側の負荷になる場合には、断られるリスクもまだあるんだね

その子に配慮しているとクラス運営ができないなどのリスクがあれば、合理的配慮以外の提案をされることもあります。
通級に行ってほしいとか、支援学級に転籍してほしいとか…
診断の有無は関係ない
「診断書がないと配慮できません」と学校から言われた経験がある方もいるかもしれません。
しかし、これは誤解です。
障害者差別解消法における「障害者」の定義は、医学的な診断の有無ではありません。
身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)、その他の心身の機能の障害がある者ということなので、正式な診断がなくても合理的配慮の対象となり得るのです。
発達特性によって学校生活に困難を抱えている状態であれば、いわゆる「グレーゾーン」と呼ばれる子どもたちも、対象となります。

診断を受けるには時間がかかることも多く、また家庭の事情や本人の気持ちなどから「あえて診断を受けない」という選択をすることもありますよね。
法律は、そうした子どもたちの学ぶ権利も守ることを目的としています。
もちろん、医師の診断書や意見書があれば、子どもの特性や必要な配慮について学校側に理解してもらいやすくはなります。
しかし診断書は、必須条件ではありません。
大切なのは、子どもが実際にどのような困りごとを抱えているか、どのような配慮があれば学習に参加できるかを具体的に伝えることなのですね。
「特別支援」と「合理的配慮」の違い

合理的配慮という言葉がまだ浸透していないため、発達障害やグレーゾーンの子どもが在籍できる「特別支援学級」や「特別支援学校」などとの違いがあいまいかもしれません。
合理的配慮は、特別支援とは違う対応になりますが、子どもたちが学ぶ環境をより心地よくするためのものという点では、類似しています。
細かな違いを知ることで、子どもにどちらが合っているのか見極めるヒントになるでしょう。
特別支援学級や通級との違い
合理的配慮は学校の義務ではある物の、特別支援学級や通級指導教室も、子どもにとって有効な選択肢の一つです。
しかし、これらと「合理的配慮」は全く別のものであり、どちらか一方を選ばなければならないわけではありません。
特別支援学級は、少人数の環境で個別のニーズに応じた教育を受けられる場。
通級指導教室は、通常学級に在籍しながら週に数時間、特別な指導を受ける制度です。
これらは「特別な場」で「特別な指導」を受けるという点で、共通した支援制度なんですね。
一方「合理的配慮」というのは、通常学級という「みんなと同じ場」で学ぶために必要な対応・調整・工夫などを指します。

たとえば、ADHDの特性がある子どもが通常学級で学ぶ場合、座席を教室の前方にして先生の目に触れやすくしたり、気が散りにくいよう窓際を避けたりするという方法があります。
ASDの特性があり、長く抽象的な指示が届きにくい場合は、指示を短く具体的に伝えるといった配慮を受けられることもあります。
つまり、ほかの子どもたちと同じクラスで授業を受けることができるようにするための、合理的配慮なんですね。

支援学級や通級はもともと、障害のある子に配慮した場。
それに近い対応をしてもらえるのが、通常学級での「合理的配慮」なんです
保護者が選べるとすれば、以下の選択肢がありますよ。
- 特別支援学級に転籍(転校)する
- 通常学級で合理的配慮を受けながら学ぶ
- 通級指導教室を併用しながら通級学級に在籍する
これらは、保護者と学校が子どもの状態を見ながら相談して決められるものです。
「配慮が必要なら特別支援学級へ行くべき」という、単純な話ではないのですね。

通ってる学校に支援学級がなければ、転校しなきゃいけないケースもあるもんね…
通常学級でも配慮は受けられる
通常学級で提供できる合理的配慮って、実は想像以上に多岐にわたります。
大がかりな設備投資や人員配置を必要とせず、日々の授業の中での工夫や調整で実現できるものがほとんどなので、お願いもしやすいんです。
たとえば、学習環境を調整する合理的配慮といえば、以下のようなものがあります。
- 座席の位置を調整する(先生の近くにするなど)
- 周囲の刺激を減らす(窓側や本棚の近くを避けるなど)
- 視覚情報を与える(持ち物リストやスケジュール)
そして、授業を進める上では、以下のような合理的配慮があります。
- 指示を1つずつ具体的に出す(一度に多くのことを言わない)
- 板書などに時間制限を設けない(学校支給タブレットで撮影OKにするなど)
- テストを別室でおこなう
- 宿題をドリルでなくタブレット学習にする
また、対人関係においては以下の工夫も可能です。
- トラブルが起きたら先生が仲介する
- かんしゃくを起こしたときのクールダウン場所を用意する
- 苦手な活動に参加せず代わりのアクティビティを用意する

合理的配慮って、意外にもお金や時間のかからないものが多いんだね
これらの配慮は、特定の子どもだけでなく、クラス全体にとってもわかりやすく学びやすい環境を作ることにつながります。
ユニバーサルデザインの考え方に基づけば、一人の子どもに必要な配慮が、実は多くの子どもたちの学びを助けることもあるんです。
このように、合理的配慮とはその子だけが優遇される特別扱いではなく、みんなが気持ちよく学べる場所を作るための、必要な調整。
それは、クラス運営と両立できるものとして、法律で義務化されているのですね。
グレーゾーンでも配慮は受けられる
診断がついていない「グレーゾーン」の場合、合理的配慮をお願いするのは気が引けると感じる保護者もいるかもしれません。
しかし前述の通り、合理的配慮を受けるための医学的診断は必須ではありません。
グレーゾーンの子どもたちにこそ、合理的配慮が必要な場合が多いんです。
グレーゾーンとは、発達障害の特性は見られるものの、診断基準を完全には満たさない、あるいは診断には至らない状態を指す言葉。
しかし、診断がついていないからといって、困りごとがないわけではありません。
むしろ「診断がつくほどではない」とされることで、必要な支援が受けられず、日々の学校生活で苦しんでいる子どもたちもいるんです。
障害者差別解消法が求めているのは、形式的な診断の有無ではなく、実質的な困難の有無。
たとえば授業についていけなかったり、友達関係がうまく築けなかったり…
そのように実際の困難があれば、それを軽減するために合理的配慮を求めることができます。

大切なのは診断名ではなく、子どもが何に困っているか、そしてどんな配慮があれば気持ちが楽になるかいう具体的な情報。
そのため診断がなくても、日常の様子や困りごとを具体的に伝えることで、必要な配慮について学校と相談することは十分に可能なのですね。
グレーゾーンはOKで定型発達児はダメなの?
合理的配慮は、障害をもつ人に適用される制度です。
そのため、発達障害や知的障害と診断された人は合理的配慮の対象となり、グレーゾーンの子も「困りごとがある」という事実があれば、対象となります。
しかし、定型発達の子は対象にはなりません。

グレーゾーンは発達障害と診断されていないから、つまりはグレーゾーン=定型発達といっても間違いではないよね。
でも、グレーゾーンはOKで定型発達はダメなのか…

なんだかややこしい~!
定型発達の子どもは合理的配慮の対象外となりますが、そうはいっても「定型発達の子には配慮しなくていい」というわけではありません。
すべての子どもにとってわかりやすい環境を作る「ユニバーサルデザイン」や、個別のニーズに対応する配慮はもともと求められているからです。
グレーゾーンの子には配慮して、定型発達の子には何もしないのは不公平だという疑問は理解できます。
しかし、合理的配慮という名前で申請をするならば、定型発達の子は対象外となってしまうのです。
とはいっても、多くの学校では定型発達の子でも「困りごとがある場合のみ」柔軟に配慮するという体制をとっているようです。
合理的配慮は障害をもつ子どものためのもの、そうでない子のために行われるのは「教育的配慮」とよばれるそうです。
法律における分類の仕方が違うだけなので、現場での対応としては同じ扱いになるケースもあるでしょう。
学校が合理的配慮を渋る理由

学校側から、合理的配慮を断られたり「特別扱いはできない」と言われたりしたことがある保護者の方もいるかもしれません。
実際には法律で義務付けられているのに、どうして断られることがあるのでしょうか?
よくある断り文句
学校から配慮を断られる際、以下のような理由を挙げられることがあります。
- 他の子どもとの公平性が保てないから
- 前例がないから
- 人手が足りないから
合理的配慮が義務化されたのは2024年と、意外にもつい最近なので、まだまだ学校側にも慣れない部分や知識不足な点があることは否めません。
「公平性」という言葉は、一見もっともらしく聞こえますよね。
しかし、合理的配慮の文脈では適切な理由にはなりません。
なぜなら「公平」とは、すべての子どもに全く同じ対応をすることではないからです。
「公平」とは、一人ひとりの特性やニーズに応じた支援を提供することです。
たとえば、めがねをかけている子どもに対して「他の子は裸眼で見ているのに不公平だ」とは言いませんよね。
それと同じで、発達特性のある子どもに必要な配慮を提供することは、不公平ではないはずなのです。

「前例がない」という理由も、拒否の正当な根拠にはなりません。
合理的配慮に前例の有無はまったく関係ないことで、むしろその学校で初めての事例になれば、後に続く子どもたちのために道を開くことにもなりますよね。
学校が断れるケースもある
学校側が、合理的配慮を断ることができるケースもあります。
それは、学校にとって過重な負担となる場合です。
では具体的に、どのようなケースが過重な負担に該当し、どのようなケースが該当しないのでしょうか。
拒否できる可能性が高いのは、たとえば以下のような場合でしょう。
- 常時マンツーマンの支援員を配置するよう求める
- 教室を改装・改修する必要がある
- 学校の教育方針や安全管理の根幹に関わる変更を求める

うん…わかるけど、一般的はこんなことあまり言わないよね

逆にこのレベルのことを言わなければ、おおかた学校には受け入れてもらえると思って良いんですね!
一方、拒否できないケースのほうが多くあります。
もしかすると、すでに先生に依頼したことがある人もいるかもしれませんが、いくつか挙げてみましょう。
- 座席の位置や指示の出し方の工夫する
- プリントを拡大コピーする
- テスト時間を延長したり別室で受けたりする
- タブレット端末の使用を許可する
- 板書を撮影OKにする
- 音読の宿題や発表を免除する
- クールダウンスペースを確保する

本当だ!できることのほうが多いんだね
教員が日常的に工夫したり、既存のリソースの活用したりしてできることは、基本的に「過重な負担」とはみなされません。
単純に手間がかかることと、過重な負担になることは別物だということを、理解しておく必要がありますね。
仮に学校側が「できない」と主張する場合、その理由を具体的に説明し、代替案を提示する責任が学校にはあります。
一方的に「できません」で終わらせるのではなく「この方法は難しいが、こういう代替案はどうか」という建設的な対話が求められるのです。

意外と知らない親御さんも多そうだね
合理的配慮はどうやってお願いする?

ここからは、実際に合理的配慮を学校にお願いするときの流れについて、ご紹介します。
結論からいうと、合理的配慮は特別な申請書や入力が必要なものではありません。
人によっては、連絡帳や先生との面談・電話で「こうしてください」とサクッとお願いすることもあるでしょう。
しかし、ここまでで解説してきたように、断られてしまう場合や「くわしくお話する時間を取っていただけますか?」と言われる場合もあります。
合理的配慮をお願いするなら、子どもも親御さんも、そして学校側も、誰も不快な思いをせずに進めていきたいですよね。

適切な申請方法を知って、気持ち良い学校生活をつくっていきましょう!
誰に言えばいい?
合理的配慮を学校にお願いする際、まず相談する相手は担任の先生です。
理由は、日々子どもと接している担任が、子どもの様子を最もよく把握しているからです。
ただし、担任だけで判断・対応できることには限界がありますよね。
そのため、担任を通じて、学年主任や特別支援教育コーディネーター、管理職(教頭先生や校長先生)に相談するケースも。
特に、ほかのクラスメイトと違った対応(宿題を減らしたり、タブレットOKにしたりするなど)をする場合には、担任の先生が上にエスカレーションする必要があるそうです。
いつ言えばいい?
合理的配慮をお願いする場合のタイミングですが、ここでは「時期」と「時間」の2つに分けてお話します。
まず、合理的配慮をお願いする時期ですが、できるだけ早い段階がよいでしょう。
問題が深刻化してからではなく「最近こんな様子が見られるので心配です」という段階で、担任の先生に相談を始めることをおすすめします。
発達障害であってもなくても、早い段階で対応を始めておくことはとても大切。
タイミングが遅れると、合理的配慮をお願いするときにはすでに子どもに大きな負担がのしかかっていたり、学校に行きたくなくなったりしている可能性もあります。
とくに新学期が始まる前、クラス替えのタイミングなどは、情報共有をするのに良いタイミングです。
前年度の担任から引き継ぎがなされていない場合もあるため、保護者から積極的に情報を伝えることが大切ですよ。

わたしはクラス替えのタイミングでます、連絡帳でおおまかに発達障害・知的障害があることを伝え、最後に「時間があるときに面談をしたい」と申し出ました
そして、時間についてですが、もし電話をする場合には放課後がベターです。
わたしがこれまでかかわってきた先生たちによると、学校が終わった直後は残っている生徒がいたり、クラブ活動の顧問をしている先生もいたりするので、忙しいようでした。
そのため、16:00~17:00くらいが電話に出やすいとおっしゃっていました。
もちろん学校や学年によって違うので、気になるようであれば先生本人に、電話に出やすい時間を聞いてみると良いと思います!
個人的には、まず連絡帳でざっくりと説明しくわしいことは後日面談で…という方法がもっともスムーズで、先生も予定を調整しやすいかなと感じます。
どうやって言えばいい?
合理的配慮をお願いするときの言い方ですが、まず子どもの困りごとを具体的に説明することから始めましょう。
「集中力がない」という抽象的な表現ではなく、より具体的に伝えると良いと思います。
連絡帳に書く、電話で伝える、面談で伝える、さまざまな方法がありますが「何から言えばいいかわからない」「緊張して話せないかも」と思ったら、以下のテンプレートを使ってみてください。
メモ名:合理的配慮のお願い
| 児童名 | |
| 学年/クラス | |
| 保護者名 | |
| 記入日 | |
| 診断名 | ない場合は「傾向」でもOK |
| 日常生活で困っていること | 自宅での様子 |
| 学校生活で困っていると言われたこと | あれば書く |
| 学校生活でこれから困りそうなこと | |
| 困りやすい場面 | 朝の身支度、集団活動時、発表会など |
| 効果のあった対応 | これまで成功した対応があれば書く |
| 避けたほうがよい対応 | これまで失敗した対応があれば書く |
| 合理的配慮としてお願いしたいこと |

面談前の事前情報として、連絡帳でこのメモを先生に渡しておいて、後日面談をしても良いかも◎
わたしが何人もの先生と話してきた経験から言うと、先生方はただ「こういう特性があるので、合理的配慮をお願いします」と言われるよりも、
- 具体的にしてほしいこと
- 自宅での様子
- 親から見てどんな子か
という情報がほしいそうです。
学校での困りごとに対応するのが先生なので、正直「家での様子」を共有するのがそんなに大事なことだとは知らず…

家での様子やご家族の対応を知ることができれば、学校でも子どもを混乱させずに対応することができる
このようにおっしゃる先生が多くいらっしゃいました。
書面で残しておこう
口頭での相談も大切ですが、合理的配慮のお願いは書面で残しておくことをおすすめします。
書面には複数のメリットがあります。
第一に、言った・言わないのトラブルを防げること。
あとから「そんな話は聞いていない」と言われることを避けられますよね。
第二に、情報が正確に伝わること。
口頭では、伝え漏れや聞き間違いが起こりやすいですが、書面なら必要な情報を漏れなく伝えられます。
そして第三に、学校内での共有がしやすくなること。
担任だけでなく、学年団や管理職、特別支援教育コーディネーターなど、複数の教職員で情報を共有する際に、書面があると正確に伝わります。
新年度で担任が変わっても、書面が引き継がれれば、改めて一から説明する手間が省けますよ。

まめの学校では、わたしが提出した書面や連絡帳の情報をコピーして、引き継いでいただいているそうです
特別支援教育コーディネーターを頼ろう
すべての学校には「特別支援教育コーディネーター」という役割の教員が指名されています。
この存在を知らない保護者も多いのですが、合理的配慮を進める上で非常に重要なキーパーソンです。
特別支援教育コーディネーターは、校内の特別支援教育を推進する役割を担っている人物。
発達障害のある子どもや配慮が必要な子どもへの支援について、専門的な知識を持っています。

主な役割は、保護者や担任からの相談窓口、校内での支援体制の調整、個別の教育支援計画の作成支援、外部機関との連携などです。
担任の先生だけでは対応が難しい場合や、担任に理解してもらえない場合、特別支援教育コーディネーターに相談することも視野に入れてみましょう。
より専門的な視点からアドバイスをもらえたり、校内での調整を進めてもらえたりするかもしれません。
特別支援教育コーディネーターが誰なのかは、学校に問い合わせれば教えてもらえます。
多くの場合、特別支援学級の担任や、養護教諭、教務主任などが兼務しているようです。

まめの学校の場合は、養護教諭(保健室の先生)でした!
コーディネーターとの面談を希望する旨を学校に伝えれば、時間を設定してもらえますよ。
担任を飛び越えていきなりコーディネーターに相談することに抵抗があれば、まず担任に「特別支援教育コーディネーターの先生にも相談したい」と伝えるとよいでしょう。
コーディネーターを活用することは、担任への不信を示すものではなく、より良い支援体制を作るための正当な手段なのですね。
認められやすい合理的配慮はある?

合理的配慮をお願いする際「断られたらどうしよう」「パターンBを考えておきたい」と思う方もいるかもしれません。
実際に、さまざまな学校でどのような合理的配慮が行われているのか、ご紹介します。
実際に学校に相談する際の参考にしていただき、認められやすいものをピックアップしてみると、お願いするハードルが下がるかもしれません。
ADHD向け
ADHDの特性がある子どもに対しては、注意の維持、衝動性のコントロール、多動性への対応という観点から、さまざまな配慮が有効です。
どういう配慮をお願いしようか迷ったら、以下を参考にしてみてください。
- 座席を前の方や先生の近くにしてもらう
- 窓際は気が散りやすいので避けてもらう
- 周囲に置く物を最小限にしてもらう
- 指示を出すときは1回に1つずつにする
- 口頭指示だけでなくホワイトボードに残す
- 重要なポイントをマーカーで強調する
- タイマーを使って残り時間をわかるようにする
- 見通しが立てられるようにスケジュールを書いておく
これらはいずれも、特別な設備や大きな人員配置を必要としない合理的配慮です。
日常的な工夫で実現可能なので、学校から断られることはほぼないと考えて良いでしょう。

上記のことでさえも「できません」と言われたら、代替案を求めてみてください。
もしくは、担任ではなくコーディネーターに直接相談するタイミングかもしれません
ASD向け
ASDの特性がある子どもには、コミュニケーションの特性、感覚過敏、見通しの立ちにくさ、こだわりなどに配慮した支援が有効です。
以下の事例を参考にしてみてください。
- 指示は具体的に出す
- あいまいな言葉(ちゃんと、適切に、など)は使わない
- 比喩や皮肉表現を避ける
- 指示と一緒に視覚情報を出す
- 見通しが立てられるようにスケジュールを書いておく
- 予定変更があったら事前に知らせておく
- 初めての活動には無理やり参加させない(最初は見学など)
- イヤーマフやイヤホンの使用を認める
- 課題によっては別室で取り組んでもらう
- グループ活動でその子の役割を明確化する
ASDを持つ子どもの多くが、予測できない変化に強い不安を感じます。
そのため、こうした配慮は精神的安定に大きく寄与するでしょう。
これらもまた、学校の方針を大きく変える必要のない工夫なので、お願いすれば受け入れてもらえる可能性が高い事例です。
LD向け
LDは、読み書きや算数など、特定の学習領域に困難がある状態です。
知的発達には遅れがないため、適切な配慮があれば学習内容を理解し習得しやすいでしょう。
読みの困難に対しては、以下の配慮が可能でしょう。
- 音読の強要を避ける
- テストや課題の文章を読み上げる(先生やタブレットの機能で)
- 拡大コピーや行間を広げたプリントを使用する
- デジタル教科書やタブレット端末の読み上げ機能を活用する
書きの困難に対しては、以下の配慮がおこなわれています。
- 黒板やホワイトボードに書かれた情報を撮影する
- 板書ではなくプリント形式で穴埋めにする
- 書くのではなく口頭で回答してもらう
- パソコンやタブレットでの入力回答にする
- 書く系の宿題を減らす
- 読みを重視して書きの負担を軽減
算数の困難に対しては、以下の配慮を検討してみましょう。
- 電卓の使用を認める
- 数字だけでなく図やブロックなどを使う
- 文章問題を図式化して考える時間を与える
LDは知的な遅れを伴わないため、努力不足や怠けだと思われやすい発達障害です。
しかし、実際にはそうではなく、脳の特性によるものだと理解しましょう。
「もっと練習すればできるのでは」「やる気の問題では」と誤解されやすいですが、適切な配慮と代替手段があれば、学習内容を習得できることが多くありますよ。
ICT機器の活用は特に有効で、読み書きの困難を技術で補うことで、本来の学習能力を発揮できるようになるでしょう。
まとめ:合理的配慮で子どもの学ぶ権利を守ろう
合理的配慮は、保護者が学校に「お願い」するものではなく、子どもが持つ正当な権利であり、学校の法的義務。
「うちの子だけ特別扱いしてもらうのは申し訳ない」と遠慮する必要は、本来ないのです。
発達障害や発達特性のある子どもが、他の子どもたちと同じように学校で学ぶために必要な調整を求めることは、当然の権利なのですね。
診断がない子でも、実際に困っていて、何らかの配慮があれば学びやすくなる場合、学校に相談してみましょう。
大切なのは、子どもにとって何が必要かを具体的に伝え、学校と一緒に考えていくことです。
もし学校から「できない」と言われても、そこで諦める必要はありません。
教育委員会や専門機関など、外部のサポートを活用することもできますので、1人で悩まず周囲のサポートを求めましょう。



















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