昨今よく話題になる「性教育」。
発達障害児と性教育は、家庭や学校、支援現場において扱いづらい話題の1つですよね。
性に関する困りごとは、誰にでも起こり得るもの。
しかし発達障害児の場合、理解の仕方や表現方法、感覚の特性などが影響し、周囲とのズレが生じやすくなります。
その結果本人が戸惑ったり、周囲が誤解したりするケースもあるでしょう。
そこでこの記事では、発達障害と性の関係について徹底解説します。
特性との関連、年齢ごとの課題、周囲の関わり方、性教育の重要性などを総合的に見ていきましょう。

発達障害と性の関係

発達障害と性の問題は、いつの時代にも注目されるもの。
その背景には、特性と社会的なルールや暗黙の了解との間に生じるギャップがありました。
性は非常に個人的な領域である一方、社会的なマナーやルールが強く求められる分野でもありますよね。
発達障害児にとってその理解が難しい場合、トラブルとして表面化しやすいようです。
社会的ルールの理解が難しい
発達障害のある人の中には、暗黙のルールや「空気を読む」ことが苦手な特性を持つ人がいます。
性に関する話題や行動は、場面や相手によって許容範囲が大きく異なり、その線引きも人それぞれ。
それらを感覚的に理解することが、発達障害児にとっては難しい場合があるのです。
その結果、本人に悪意はなくても、周囲から不適切だと受け取られてしまうことがあるのですね。
感覚特性が性の感じ方に影響する
感覚過敏や感覚鈍麻といった特性は、性に関する感覚や関心の持ち方にも影響します。
感覚過敏・感覚鈍麻は、身体的な刺激に対する感じ方が人と大きく異なる特性を指します。
そのため、人よりも性に興味を示しやすかったり、逆に強い拒否感を示したりすることがあるのです。
これは性格の問題ではなく、神経発達の特性によるものなのですね。

性に関しては、興味が強すぎても逆になさすぎても不安になってしまうね…

性犯罪の加害者・被害者にならないためにも、性に関する興味は「人並みであってほしい」と思ってしまうのが親心だよね
情報の取捨選択が難しい
性に関する情報は、インターネットやメディアを通じて簡単に得られるようになりました。
その一方、肝心の内容はというと、まさに玉石混交。
発達障害の特性として、興味のある分野に強く没頭しやすい場合、偏った情報をそのまま受け取ってしまい、現実とのズレが生じることがあります。
性に関する情報は、間違ったまま認識してしまうことで取り返しのつかないことになったり、自分や他人を傷つけたりする可能性もあります。
発達障害がなくても、性について正しく理解し行動することは簡単ではありません。
特性があるからこそ、さらに気を付けたり意識を高めたりすることが、親御さんにも求められるでしょう。
発達障害の性に関する困りごと

発達障害の特性は、1人ひとり異なります。
そのなかで、性に関する困りごととして共通しやすい傾向はいくつか見られます。
これらは「問題行動」ではなく、理解や支援が必要なサインとして捉えることが重要です。

特に性の問題となると深刻に考えすぎてしまい、不安が拭えない私。
問題行動ではなく、支援する未来につなげていく意識を高めなければ!
境界線の理解が難しい
他者との距離感や、プライバシーの概念を理解することが難しい場合、身体的・心理的な境界線を越えてしまうことがあります。
本人は親しみの表現のつもりでも、相手にとっては不快に感じられることもありますよね。
そのギャップがトラブルにつながったり、思わぬ場面で相手を傷つけてしまったりすることがあるでしょう。

「相手が嫌だといったらやめる」というのは簡単なように見えて、発達特性をもつ子には理解が難しかったりするよね
興味や関心に偏りがある
発達障害の特性として、特定のテーマへの強い興味が見られることがあります。
性に関する分野にその興味が向いた場合、話題にし続けてしまったり、同じ質問を繰り返したりすることがあるかもしれません。
これは欲求の強さというよりも、関心のコントロールの難しさによるものです。

自分の子がしていたら、性欲が止められないのかな?と不安になってしまいそう

性欲は決して汚らわしいものではないから、線引きが難しいね
感情と行動が結びつかない
思春期以降になると、性的な感情と人間関係が複雑に絡み合うようになります。
そんななか、発達障害のある人は、自分の感情を言語化したり、適切な行動に変換したりすることが難しいことも。
結果として、誤解を招く行動に出てしまうことがあるでしょう。
ひと昔前は「いやよいやよも好きのうち」なんて言われていましたが、昨今では「No means No」(NoはNoを意味する)という考えかたが浸透してきました。

言葉にするのが苦手だからボディタッチをしたり、仲が良いからという理由でハグをしたり、自分のものさしで行動することが、思わぬトラブルを引き起こす可能性があるのですね。
年齢別に見る課題

発達障害と性の課題は、年齢や発達段階によって大きく変化します。
幼少期から大人になるまで、それぞれの段階で異なる支援の視点が求められますので、1つひとつ見ていきましょう。
幼児期~学童期
幼い時期は、性に対する純粋な好奇心が目立つことがあります。
とくに発達障害のある子どもは、興味を持ったことをそのまま行動に移しやすいことも。
そのため、大人が適切な言葉で「してよいこと」「してはいけないこと」を具体的に伝える必要があるでしょう。
この時期の関わり方は、将来の理解の土台となります。

私もまめとナツが幼児期のころから、下品な言葉を言っても笑ったり「面白いね」という雰囲気を作ったりしないようにしてきた!
学童後期~思春期
思春期になると、身体の変化や性的な感情が一気に強まります。
発達障害のある子どもは、その変化をどう受け止めればよいのか分からず、不安や混乱を抱えやすくなるでしょう。
周囲がそういった話題を避けてしまうと、本人は誤った情報に頼らざるを得なくなってしまうかもしれません。
必要なことは、知識としてちゃんと学べる機会があると良いですね。

今は性教育の絵本もあるから、小さなころから知識として学んで、思春期に備えたいね
成人期以降
成人期には、恋愛やパートナーシップといった現実的な課題が加わってきますね。
発達障害の特性により、相手の気持ちを推測することが難しい場合、関係がうまく築けず孤立感を深めることもあるかもしれません。
性に関する支援は子ども時代だけでなく、成人期にも継続的に必要であることがわかります。
それでも幼児期から適切な形で性教育をしていたり、性にかかわったりすることで、成人期以降の課題に対するハードルも下がるでしょう。
発達障害児の性教育ポイント

発達障害のある人にとって、性教育は「早すぎる」「不要なもの」ではありません。
むしろ、不可欠な支援の1つとなります。
性に関し正しい知識を得ることで、本人を守り、周囲とのトラブルを防ぐことにつながるでしょう。
抽象的ではなく具体的に伝える
発達障害の特性がある場合、曖昧な表現や比喩は理解しにくいことがあります。
性に関するルールやマナーは、どうしても直接的な表現を避けたり、空気や間を読んで理解しなければいけなかったりするでしょう。
発達障害のある子には、具体的な場面を想定して説明することで、実生活に結びつきやすくなりますよ。
恥やタブーにしない
いまほど性教育が「しつけ」として定着していなかった時代には、性の話がタブー化されていました。
赤ちゃんはコウノトリが運んでくる、なんて言われてきた人も多かったのではないでしょうか。
しかし発達障害児を育てていると、たとえば前述の「コウノトリ」の話を素直に信じる子はたくさんいるだろうと感じます。
それは、小学校高学年になってもです。
発達特性により想像力が欠如していることもありますし、見たまま・聞いたままの情報を鵜呑みにしやすいのも特性の1つだったりします。
そのため、発達障害児には特に具体性をもって性について伝える必要があるのです。
性の話題を避け続けると、本人は「聞いてはいけないこと」と認識し、困ったときに相談できなくなります。

発達障害があるからこそ、困ったときには素直に聞ける場所が必要だよね
安心して質問できる環境を整えることが、トラブルの予防につながるでしょう。
自己決定と自己防衛を教える
性教育は、他者への配慮だけでなく、自分の身を守る力を育てることでもあります。
「嫌なことを嫌だと言って良い」そして「なにごとにも同意が必要である」という考え方は、発達障害のある人にこそ丁寧に伝える必要があるでしょう。

発達障害の有無にかかわらず、この「同意」という部分は履き違えやすいから注意したいよね

わが子が性加害者にも、被害者にもならないための学びだね
周囲ができる理解と支援

発達障害と性の問題に向き合う際、周囲の大人や支援者の姿勢が重要になってきます。
「否定」や「叱責」ではなく、理解することや環境を調整することが求められるでしょう。
具体的にどのようなものがあるのか、見ていきます。
行動の背景を考えてみる
性関連となると、表面的な行動だけを見て問題があるように感じられることがあるかもしれません。
しかしその背景には、性に関する理解不足や、本人の不安が隠れていることも。
なぜその行動が起きたのかを考えることで、適切な支援につなげることができるでしょう。
難しいかもしれませんが、頭ごなしに怒ることが良い結果を生むとは限りません。
怒ってしまうとさらに隠すようになったり、親御さんが正しい知識を教える機会すら持てなくなったりする可能性もありますので、注意したいですね。
一貫したルールをもうける
発達障害の特性や種類にもよりますが、発達特性がある子はルールが一貫していると従いやすいことがあります。
柔軟に対応したり、臨機応変に行動したりするのが苦手な子が多いからこそ、性に関してはきっちりと「枠」を決めておくのも手です。
場面によって対応が変わると、発達障害のある人は混乱しやすくなります。
家庭、学校、支援機関が連携し、共通のルールや伝え方を持つことが安心感につながることもありますよ。

性に関してはどうしても両親や家庭によって違ってくるけど、そこを学校や専門機関と揃えることも大事だね

ルールだけじゃなくて伝え方まで揃っていると、子どももセルフコントロールがしやすそうだね!
参考までに、わが家で定めている性教育のルールを一部ご紹介します。
〇 ちょっかいをかけて相手が「やめて」と言ったらすぐにやめる
〇 呼ぶときに肩をたたく以外は人に触らない
〇 プライベートゾーン(胸・性器・お尻)は人に見せない・見ない
〇 これらを守らない人がいたら大人に報告する
プライベートゾーンを見せない、見ないというのは、大人になるにつれて事情が変わってきます。
そのため、今小学生であるわが子に対する伝え方として、子どものうちは「見せたり見たりする必要がない」ことを強調しています。
まめは、性の問題というほどでもありませんが、お友達へのスキンシップが多いと感じる時期がありました。
さまざまな伝え方をしてきましたが、一番理解しやすいと感じたのが「やめてと言ったらすぐやめる」と「肩以外触らない」というものでした。
一見「肩以外触らない」というのはやりすぎなように感じられるかもしれません。
でも、発達障害のある子に
仲の良いお友達ならいいけど、相手が嫌そうだな~と思ったらやめて、相手からも肩組んでくるような子ならいいんじゃない?
という伝え方をしても、ほぼ理解できません。
まず「相手による」という、すべて自分で推測し判断しなければいけない行動が苦手。
そして「相手が嫌そうだな~と思ったら」という仮定も、彼らには難しすぎるからです。

発達障害のある子には、こういう「時と場合によるよね」という言い方ではなく、明確なルールとして設定するほうが守りやすいと思います
発達特性によっては、成長とともに「相手が嫌そうだったらやめる」という塩梅が理解できるようになっていくかもしれません。
そうしたら、成長に応じてそのように自分で考えるスタイルに変えていけば良いでしょう。
もし成長しても相手の心情を読み取るのが難しければ、引き続き「他人に触るときは肩のみ」という基本的なルールを覚えておいてもらえれば、トラブルを防ぐことができますね。
専門家につなぐ
性教育というのは、一歩間違えると犯罪に巻き込まれたり、自分が加害者になったりすることもあるラインです。
そのため、悩むことがあれば家庭だけで抱え込まず、医療機関や相談窓口、支援機関に相談することも大切。
性に関する悩みは専門性が高いため、第三者の視点が問題解決の糸口になることがありますよ。

性に関する常識って人によって違うから、親が「ここまでならOK」と思ってても一般的にはNGだったりすることもあるかもね

人の気持ち的な問題もありますが、合理性として考えると「どこからがアウトなのか」という犯罪の線引きについても知っておいたほうが良いですよね
まとめ
発達障害と性の問題は、本人の特性と社会のルールとの間に生じるズレから起こることが多く、決して珍しいものではありません。
タブー視して排除するのではなく、理解し、学び、支える視点を持つことが大切でしょう。
適切な性教育と周囲のサポートがあれば、発達障害のある人も安心して自分らしい人間関係を築くことができます。

















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